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» 2007年03月16日 17時04分 UPDATE

鼻歌サイト「midomi」が日本上陸 「あの曲は?」を歌って検索

「ふんふふふーん、あの曲、何だっけ?」――ちょっとイライラするそんな疑問を解決してくれる「midomi」が日本に上陸する。PCに鼻歌を吹き込めば、同じメロディーの曲を瞬時に検索。データベースもみんなが歌った鼻歌製だ。SNS機能もあり、人気鼻歌アーティストも目指せる。

[岡田有花,ITmedia]

 「あの曲、何だったっけ?」――サビや歌い出しだけは分かるけど、曲名や歌手名がどうしても分からない。そんなイライラをすっきりさせてくれる米国のサービス「midomi」が、日本上陸に向けて準備を進めている。

 midomiは、鼻歌で検索できる楽曲検索サービスだ。PCに接続したマイクから鼻歌を吹き込めば、データベースと照合し、数秒で曲名・歌手名を探し出してくれる。メロディーが少しずれていたり、テンポがおかしかったり、キーが原曲と違ってもOKだ。

 鼻歌はハミングでも口笛でもいいが、歌詞付きで歌えば検索精度は上がる。歌詞も照合しているためで、同じメロディーで歌詞の異なる曲(「キラキラ星」と「ABCの歌」など)も、別の曲として認識・検索してくれる。

画像 「midomiは、歌を探すことと、自分の歌を見付けてもらうこと、両方が可能だ」とモハジャーCEO

 検索対象となるデータベースは、ユーザーが吹き込んだ鼻歌だ。歌うのが好きなユーザーが、鼻歌と曲名・歌手名を組み合わせてサイトに登録。これを検索キーの鼻歌とマッチングさせ、似たメロディーや歌詞の楽曲を探し出す仕組みだ。

 検索結果ページには、原曲の試聴コンテンツに続いてユーザーがデータベースに登録した鼻歌を表示。同じ歌を歌った見知らぬ「鼻歌アーティスト」に出会うことができる。

 SNSの仕組みも備えた。鼻歌アーティストは、鼻歌と一緒に自分のプロフィールや写真を登録でき、他のユーザーから鼻歌を評価してもらえる。評価が「鼻歌アーティスト」の意欲を刺激し、データベースをさらに豊かにする。

 「音楽のWikipediaを目指した」――midomiを運営する、米Melodisのケイヴァン・モハジャーCEOは言う。「言語や音楽ジャンルを超えた、世界最大の楽曲検索データベースを構築したい」

メロディーでも詩でもテンポでも検索

 midomiは、モハジャーCEOらスタンフォード大学の卒業生4人が2005年9月に立ち上げたベンチャー企業・Melodisが展開するサービスだ。「鼻歌で楽曲を検索する」というアイデアを思いついたのは2004年。その後2年かけて技術開発し、今年1月末に米国でサービスインした(関連記事参照)

 技術のキーは、人の声のマッチングに特化した検索エンジン「MARS」(Multimedia Adaptive Recognition System)だ。メロディーだけでなく、歌詞(音声を解析しているため言語に依存しない)や音程、リズムの特徴、息継ぎのタイミングなど、複数の要素を組み合わせて検索できるのが特徴だ。

 検索時にどの要素を重視するかも、吹き込んだ鼻歌をもとに自動で判別する。例えばハミングなら、詞は無視してメロディーを優先してマッチング。ラップなら、メロディーは無視してテンポと詞をマッチングする、といった具合だ。

 現在のサービスは、メロディーマッチングを最優先にしているが、歌詞も同時に解析している。このため、同じメロディーだが歌詞の異なる「キラキラ星」「ABCの歌」「The Farmer in the Dell」の3曲を別の曲として認識するわけだ。

 鼻歌で楽曲を検索するシステムには、米Gracenoteが開発した「MusicID」などがある。国内でもauの「うたって検索」など似たサービスがあるが「当社の技術はまったく別」とモハジャーCEOは言う。

 「他社のサービスは、メロディーだけとか歌詞だけといった単一の要素か、せいぜい2つの要素だけでしか検索できない。だがmidomiはメロディー、歌詞、リズムなど複数のキーを組み合わせて検索でき、どのパラメータを重視するかも自由に設定できる。データベースも原曲を利用せず、ユーザーが吹き込んだ鼻歌。声と声とをマッチングするという意味でも、他のサービスとは異なる」

キモは「鼻歌アーティスト」のやる気

 検索時に吹き込む鼻歌は、楽曲の一部で足り、歌い出しでもサビでもいい。MARSがデータベースから同じフレーズの鼻歌を探し出し、その部分を頭出しして再生してくれる。特徴的なメロディーの楽曲なら、数秒間分吹き込んだだけで検索できるという。

 同社が、30人にランダムに1000曲検索してもらったところ、93%が正確な結果を得られたという。不正確だった7%は、データベースにない楽曲が大半。少数だが、歌ったフレーズが短すぎたため検索できなかったものもあったという。

 記者が試しにビリー・ジョエルの「Honesty」を歌ってみたところ、サビの最初の10秒ほどのフレーズだけで検索できた。同じ部分を「ラララ」で歌っても同様に、正しい結果が得られた。このほか十数曲で試してみたが、ビートルズやスティービー・ワンダーなど世界的に有名なアーティストの有名曲なら、数フレーズ適当に歌っただけでほぼ完璧に見つけ出してくれた。

 日本の有名曲もいくつか試してみたが、さすがにほとんどダメだった。ただ、検索結果に出てきた見知らぬ曲を試聴したり、見知らぬ人の鼻歌を聴くのが思いの外楽しかったので、意味もなくいろんな曲を歌っては他人の鼻歌を聴きまくってしまった。


 検索対象のデータベースは、ユーザーの鼻歌だけ。原曲も検索対象に組み入れるか検討したが、入れない方が正確に検索できると判断して見送った。

 というのも、原曲は鼻歌と異なり、複数の楽器が同時に演奏されているためだ。楽器ごとにメロディーを分離することは、技術的には可能というが、どの楽器が主旋律を奏でているのかを機械的に判断するのが難しい。

画像 ユーザーページ。ほかのユーザーが書いたコメントが読める

 例えば「スターウォーズのオープニングテーマを歌ってみて」と言われると、多くの人が同じメロディーを口ずさむだろう。だがオーケストラで演奏されている原曲を実際に聞いてみると、さまざまな音が複雑に絡み合い、みんなが知ってるあのメロディーとはまた異なる音も聞こえてくる。

 原曲データが使えないとなると、データベースの充実はユーザーのやる気にゆだねるしかない。サービス開始からまだ1カ月半だが、ユーザーの鼻歌はすでに2万5000曲以上登録されており、その数は日々増え続けているという。力を発揮したのは、SNSの仕組みだ。

 midomiは、ユーザーが鼻歌とともにプロフィールや顔写真を掲載でき、鼻歌をほかのユーザーから評価してもらえる。気に入った「鼻歌アーティスト」をファンとして登録することもできる。評価の高い鼻歌をランキング表示する機能も備える。楽曲登録時、アーティスト名や曲名がうろ覚えでも、適当に入力すれば正しいスペルを教えてくれる機能も備えている。

まずはアフィリエイトビジネスから

 ビジネスモデルは広告中心だ。検索結果のトップに、原曲CDの試聴ボタンとAmazon.comのアフィリエイトリンクを設置。原曲は200万曲分登録されている。今後はアーティストのコンサートチケットのアフィリエイトリンクや、楽曲ジャンルに応じたバナー広告などを導入する予定だ。

 企業向けに、検索システムMARSの販売も行う計画。Webサイト向けのほか、携帯電話向けも開発済みで、携帯キャリアに売り込む。このほか、携帯音楽プレーヤーや車載オーディオシステムなど、さまざな機器に搭載できるという。

 世界最大の楽曲データベースを構築することを目標にかかげ、日本にも1〜3カ月後をめどに参入する。サイトを日本語化するほか、楽曲の鼻歌をネット配信する際の著作権をクリアにした上でサービス展開する計画だ。

 「日本にはカラオケ文化があり、携帯電話で楽曲を聴く文化もあるから期待している。ライセンスをクリアにし、早く参入したい」

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