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ブクマをTwitterに投稿できる「Bktter」

» 2007年05月30日 12時01分 公開
[岡田有花,ITmedia]
画像 Bktterの設定画面。1度設定すれば、その後は何もしなくてもブックマークをTwitterに投稿してくれる

 API公開サイト「Simple API」を運営する伊藤まさおさんは5月30日、「はてなブックマーク」や「livedoor Clip」などソーシャルブックマークサイトに登録したURLを、自動でTwitterにも投稿できるサービス「Bktter」(ぶくったー)を公開した。「ブックマークを通じたコミュニケーションにつながれば」と伊藤さんは狙いを語る。

 TwitterのID・パスワードと、はてなブックマークかLivedoor Clip、「del.icio.us」「Newsing」「Buzzurl」のIDを入力すれば、それぞれのブックマークサービスに投稿したURLとコメントを、Twitterにも自動で投稿できる。

 ユーザーのブックマークページを10分に1度クロールし、更新があれば投稿する仕組み。ブックマークは公開設定しておく必要がある。

「ブクマは2度と見ない」から

 「ブックマークって、1度登録してしまうと2度と見ない。知り合いに聞いてみても、『ブクマしたURLを後で見返さない』という人は多い」――自らもブックマークサービスのヘビーユーザーだという伊藤さんは言う。

 ブックマークユーザーの多くは、後で見返すためというより、そのURLを誰かに知ってほしいとか、それについてコメントをして誰かに見てほしいと思ってURLを投稿しているという。「ブクマしてコメントを付け、ほかのユーザーとコミュニケーションするのが楽しいのだろう」

 ブクマをTwitterにも投稿できるようにすれば、そのURLを、ブクマサイトのユーザーだけでなく、Twitterでつながっている友人(フレンド)に見せることができ、新たなコミュニケーションが可能になる。

 「面白いURLを見つけたとき、メッセンジャーで友人に伝える人は多いが、それと同じような使い方をBktterでもしてもらえれば」

Twitterは「面白いし、悔しい」

 伊藤さんは、1996年にコミュニティーサイトを立ち上げて2002年に法人化。その後も個人で複数のサービスを構築するなど、長くWebに関わってきた。Twitterを始めたのは4月末ごろ。「Twitterは面白いし、悔しい」という。

 気に入っているのは、タイトル不要で本文だけを思いつくままに入力できる点や、再編集できない点だ。

 「ブログは2、3行程度しか書かないことが多くて、その程度の内容ならタイトルいらないじゃんと思っていた。Twitterはタイトル欄やドロップダウンの選択フォームもなく、投稿欄が1つしかないのがいい。『2ちゃんねる』の投稿欄と同じくらいシンプルで、投稿の敷居を下げている」

 「ブログだと投稿日時を変えたり、1度投稿した文章を再編集できるから『昨日の4時投稿』と書いてあっても実際に書いた日時がそうなのかは分からない。Twitterは再編集できないから、その時思ったことをその時に投稿する必要がある。例えばおいしいものを食べた時、ブログなら後で感想を書けばいいが、Twitterなら口に入れた瞬間に書くというイメージ。リアルタイム性が高い」

 自分が投稿したコメントと友人のコメントが、区別なく1画面上に表示されるのも新しいという。「mixiも似た仕組みで、ユーザーの日記と、それに対するコメント欄の色や幅が同じだから、日記とコメントが対等に見える。Twitterはそれをさらに発展させ、自分のコメントと他人のコメントがまったく同じ扱いになる」

 Twitterのようなシンプルで洗練されたサービスが着実に流行している様子を見ていて、1人のエンジニアとして悔しいという。「普通の人は、機能を増やす方向で新サービスを考えるが、ネットの場合は、機能が減ることで突然いいものが出ることがあり、Twitterはそれを綿密に考えられた末に作られている。エンジニアはみんな悔しがっていると思う」

日本のWeb産業が危ない?

 Twitterは、英語サービスにも関わらず国内でも流行し始めている。2003年ごろ、英語版SNSが盛り上がり始めた時期にも似ているが、当時は、国産のGREEやmixiが登場すると、ユーザーは国産にどっと流れた。Twitterの場合も日本語版と呼べるサービスが次々に登場しているが、“本家”を上回る勢いはまだ見えない。

 「日本のWeb産業は、海外で先にできたサービスをローカライズして発展してきた。例えばmixiは『Orkut』に、はてなブックマークはdel.icio.usに影響を受けて作られている。だがTwitterはローカライズなしで流行しており、国境や言語が関係なくなってきている。このままではローカライズの意味がなくなり、日本のWeb産業が危ないかもしれない」

 ただ逆に、国産のサービスを海外でも利用してもらえる土台ができた、という見方もできる。はてなの「Rimo」グルコースの「24 o'clocks」は、ユーザーインタフェースから日本語をなくすなどして海外の人も利用しやすいように作っており、ライブドアも海外展開を視野に入れたサービスを構築中。世界を目指すネット企業が着実に増えている。

 伊藤さんが運営するSimple APIのトラフィックも、4割は米国・中国からだという。「英語の説明が付いているわけでもないのに何でだろうと思ったら、del.icio.usの日本人ユーザーにブックマークされて上位に入り、それを見た海外の人がアクセスしてくれていると分かった」

「更新型API」が来る

 Twitterは「更新型API」が広く使われた最初のサービスでもあるという。

 「これまでよく利用されていたAPIは『参照型』。○○のデータを参照し、そのデータを引っ張ってこれる、というものがほとんどだった。だがTwitterは『投稿型』。投稿機能を切り出して別サービスと組み合わせるAPIが流行している」

 Twitterの投稿APIと別サービスを組み合わせてログを記録する、という使い方も増えてきそうという。「例えば検索キーワードをリアルタイムに取ってきて記録したりとか、就職活動サイトと連動させてエントリーした企業を記録しておいたりとか――」

 Twitterのシンプルで奥深い仕組みと、太っ腹に公開されたAPIが、伊藤さんをはじめとした世界中のWebエンジニアの創造力を刺激しているようだ。

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