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「Web2.0は大嫌い」とひろゆき氏 ニコ動有料版で「もっと面白くしたい」(2/3 ページ)

» 2007年06月18日 15時00分 公開
[岡田有花,ITmedia]

動画で生活できる人が出てくれば面白い

 有料会員制に続いて、ユーザー同士でお金を流通させられるような仕組みが入れられれば面白いと考えています。面白い動画を作った人に、1円でもお金を払えるようになって、例えば、ゲームをプレイするゲーム動画だけで生活していくという人がでてきておかしくないと思うんですよ。

 お金が出てくることで新しい文化も生まれるし、それで食っていけるような人が出たらもうちょっと面白さは加速するかなと思っていて。

 すごく楽しそうにゲームする「永井先生」という方がいらっしゃって、独り言を言いながらゲームをプレイする動画がニコニコに上がってるんですけど、彼、動画のファンからプレイステーション 3(PS3)をもらったらしいんですよね。あまりに面白いから、ネットで見た人が「PS3をやらせたらもっと面白いんじゃないか」とプレゼントしてしまった。

 コミケって、面白い本を作ってる人にみんなでお金を払ってものを買って、その人が冬コミでつくって夏コミで作ってと継続的に循環するじゃないですか。そういう形でニコニコ動画で面白いもの作ってる人に「これ面白いから」というので経済的にうまく回る仕組みをつくるといいんじゃないかな、という淡い期待があります。

 有料版は、その第1歩になるはず。経営的には収益どうこうという話になってると思うんですけど、ぼくは収益どうこうはそんなに意識してない……と言ってしまうとまずいんですけど(笑)。

――親会社ドワンゴの決算では「ニコニコ動画など来期以降で当社の新たな収益の柱となるサービス構築に戦略的な先行投資を行ったことなどにより、大幅な減益になった」としています。現状は赤字でも、来期以降に収益化するという想定のようですが、ビジネスの状況はどうですか。

 ビジネスを考えないわけではありません。意識はしていますが「今年中に収益を」という切迫感はなくていいかなと思います。数年後に帳尻が合えばいいかなと。

 広告は、自社広告と、サイバーエージェントのターゲティング広告「MicroAd」が入っているだけです(関連記事参照)。ニコニコ動画はページビュー(PV)は多いけれど、PVの量と、広告を出した際の質は伴っていない気がします。動画を見に来ている人はわざわざほかの広告見に行かないじゃないですか。だから広告は収益の大きな柱とはならないのでは。

 DVDなどのアフィリエイト広告は相性がいいかもしれません。「ニコニコで知ったコンテンツのDVDをAmazon.co.jpで買った」という話をよく聞くから、動画に関連するDVDのアフィリエイトリンクをきちんと連動して表示することができれば、売れるのでは、と考えています。

 「陰陽師」をDVD付きCDや着うたにしたときみたいに、収益源をこちらでも一緒に持って「じゃあ一緒にやりましょう」という方が、単純に広告を見せるよりは相性がいいかもしれません。陰陽師のCDは1万枚ちょっと出たそうです。神奈川で1人暮らし用マンション買えるぐらいの売り上げですね。それぐらいの粗利益が毎月あれば、運営費用もなんとかなるかなぁ。

 有料コンテンツ配信の話も出ています。RC版で有料会員の数が見えると、コンテンツにお金を払う人の割合が見えてきますから、有料コンテンツも乗りやすくなるのではと考えています。

ビジネスに寄り過ぎるとつまらなくなる

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――ニコニコ普及委員会名で、ニコニコ動画の方向性や考え方を示した「ニコニコ宣言」が発表されました。宣言の中には「ネットサービスを、ビジネス面からだけでなく人間本位でとらえなおそう」といったことが書かれているようですが。

 ニコニコ動画はどうしても、ビジネスの話になりがちなんです。会社がやってるのでしょうがないですけど。でもビジネスに寄りすぎると面白くならない。ちょっと前に企業が「CGM」(ユーザーが生成するメディア)を作るというのが流行しましたが、企業主導でやってそこまで面白いコンテンツが生まれたかというと、微妙です。

 日本の企業はもともと、ゲームとか漫画とか面白いコンテンツを作るのに慣れているはずなんですが、ネット発で面白いコンテンツができたってのはあんまりない気がしてます。「ぼく、漫画屋さんでした」という人がネットにもいるから、できないはずはないと思うんですが、なぜかできてないのは、ビジネスに寄りすぎてるからかなと思ってます。

 ビジネス上先が読めるものって、飽きられているものだったり、「ああこれね」って分かるものだったりで、全く新しいものって出てこないと思うんです。今のゲーム業界がいい例で、シリーズ物の何作目、みたいなのしか出てこない。

 「テトリス」が出たときみたいに「うわ、こんなゲームあったのか!」というものって、ちょっと堅い会社からは出づらくなっていると思うんですよね。

――宣言の中では「Web2.0」の定義にも言及されています。「Web2.0とは技術革新でも新しいビジネスチャンスでもなく、人間本位の仮想社会をとりもどすいわばWebルネサンスとでもいうべきもの」などとありますが。

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