「レーザープリンタに健康リスク」、研究者が指摘
オフィスや家庭で使われているレーザープリンタに、健康上のリスクをもたらす可能性がある。米国化学会の学会誌で、このような研究結果が発表される。
この研究は豪クイーンズランド工科大学のリディア・モラウスカ博士が実施したもの。62機種のレーザープリンタについて、トナー粒子の放出を調べた。調査対象には、キヤノン、Hewlett-Packard(HP)、リコー、東芝などのブランドで国際的に販売されている、米国やオーストラリアで人気の高いモデルが含まれる。
モラウスカ氏は論文の中で、特定のレーザープリンタはトナーの細かな粒子を空中に放出し、人間がそれを肺に吸い込むと健康を害する恐れがあると説明している。同氏らは、62機種のうち17機種を、インクの代わりにトナー粒子を多く放出する「高粒子放出機」と分類している。実験で使ったある機種では、放出される粒子の割合が、たばこから出る粒子状物質の割合と同程度だったという。
一方、62機種のプリンタのうち37機種は、空気を汚染する粒子の放出がまったくなかった。6機種は低レベルの放出量で、2機種は中程度。
ほとんどのプリンタが放出する粒子は超微細であり、有害物質が肺の狭い気管にも容易に入り込んで「深刻な健康上の危険」をもたらす恐れがあるとモラウスカ氏は報告している。また、プリンタ使用によって作業中のオフィス内の粒子レベルは5倍に増え、新しいトナーカートリッジを使っているときと、トナーが多く必要な画像を印刷するときに、粒子の放出が多くなることも示された。
吸い込んだ粒子が健康に及ぼす影響はその成分によって異なり、呼吸器の炎症から、心臓血管系の問題やがんなど深刻なものまでさまざまな影響が考えられると同氏は述べている。微細でない粒子も、サイズが大きいために有害物質を多く含んでいる可能性があり、肺の奥深くに到達しなくても有害かもしれないという。
同氏らは、プリンタの放出する粒子が健康に及ぼす影響についてはさらに研究が必要としつつも、今回の結果を受けて、レーザープリンタからの放出レベルを規制するよう政府に呼びかけている。
この研究論文は同学会のオンライン版「Environmental Science & Technology」誌8月1日号に調査モデル一覧付きで掲載される。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
資さんうどん、従業員の退職理由などが外部から閲覧可能に 委託先の勤怠システムに設定不備
-
2
松屋の公式アプリとWebサイトが停止 不正アクセスを検知、モバイルオーダーや弁当予約も使えず
-
3
「PayPay連携の銀行から、お金全部盗られた」被害報告……原因と対策は? PayPayに聞いた
-
4
ベネフィット・ワンの委託先に不正アクセス セゾン会員向け優待サービスで約2.9万人分の個人情報漏えい
-
5
NEC、委託先の情報漏えいで謝罪 「セキュリティ事業を手掛ける企業として反省」
-
6
グッスマ、顧客の2800人のカード番号全16桁+セキュリティコードなど流出か 下4桁は40万枚分
-
7
JALの予約システムに不正アクセス 約9万人分の予約情報が漏えい 一部ではパスポート番号も
-
8
VTuber「兎田ぺこら」グッズにSNSで風評被害→示談成立 「保護者同伴で謝罪などがあったため」
-
9
渦中のGMO、熊谷代表の発信は“火に油”か? 「経営トップが自ら広報」の功罪
-
10
GMO、ランサム被害にあった顧客に新しいPC提供へ 犯行グループは1人の顧客情報公開か
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR