例えば、実店舗とECサイトを持っている企業にとって、実店舗のように「いらっしゃいませ」と客に言え、商品を見せながらリアルタイムコミュニケーションできるSecond Lifeは、未来のECサイトを試せる新しい場だ。
「検索で企業サイトに来てもらう場合と違い、Second Lifeなら何となく立ち寄ってもらえ、実店舗に近い。1回来てもらえれば10〜20分とじっくり見てもらえるなど、仮想空間ならではの行動も見られる。国内で3D仮想空間を試せるのは、現状ではSecond Lifeしかない」
そもそもWebに積極的な企業は、新しい場に人が来ないことには慣れており、SIM来訪者が少ないこともそれほど問題視しないという。「Web黎明期からECサイトを作った企業は『ネットで物が売れるわけない』と言われ、実際に売れなかった経験もあるが、いまはもうかっている。その経験を踏まえて『3Dネットで商売するなら一番になりたい』と考え、人がいないと分かっていてもSecond Lifeを試そうとする」
Second Lifeへの大企業の参入は、これからもしばらく続きそうだ。国内企業の参入は今年3月ごろに始まり、それを見て検討した企業が夏までに参入を終えた。「ぐずぐずしていた企業が」10月以降に参入。それを見た企業がまた参入を決める――というサイクルで、来年3月ごろまでは参入が続く見通しだという。
その後どうなるかは「運営元のLinden LabがSecond Lifeを使いやすくするかどうかにかかっている。ただLindenは、誰も来ないサーバ(SIM)をすでにたくさん持っていて、それだけでもうかっているはずなので、これ以上頑張る必要はないのかもしれない」
Linden LabがSecond Lifeの操作性を改善せず、その結果ユーザーが増えず、目新しさもなくなってしまえば、企業にとっての魅力は薄れる。「最後は本当に3Dをやりたい企業だけが残るだろう」
今から参入する企業へのアドバイスは、「やるならできるだけ早く。プレスリリースだけでも先に出したほうがいい」ということ、そして「Second Life内だけでなく、外からも見られる仕組みにしたほうがいい」ということだ。
参入するなら、Second Lifeが新鮮なうちにアピールして先進性を打ち出しておくべき。また、人がいないSecond Life内でプロモーション効果を期待するよりは、Second Lifeでの展開を外部の企業サイトからも見られるようにするなど、Second Lifeユーザー以外にアピールする手段を作れば、より大きな効果が期待できるという。
ただ、以前と比べると最近は、Second Lifeに関する報道や企業参入もだいぶ落ち着いてきてた。「そろそろ次の熱病が来るかも知れない。次は何だろう……携帯電話コミュニティーなどが流行しそうな気がする」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR