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» 2007年11月23日 03時22分 UPDATE

なぜ「ニコ動」は盛り上がり、「Second Life」は過疎化するのか (1/2)

「ニコニコ動画」「Twitter」が盛り上がり、Second Lifeが過疎化しているのはなぜか――勝敗の分かれ目は「時間軸」だという。「ニコニコ動画やTwitterには、100年に1度といえる程の革新があるが、Second Lifeは古い」

[岡田有花,ITmedia]

 「ニコニコ動画」「Twitter」はなぜ盛り上がり、Second Lifeは閑散としているのか――日本技芸リサーチャーの濱野智史さんが11月22日、ブロードバンド推進協議会(BBA)が主催したシンポジウム「仮想世界におけるコミュニティサービスの現在」で、3サービスを分析。勝敗を分けたのは「時間軸」だと説明した。

 「Second Lifeは、描画が3Dになり、見た目上は進化しているように見える。だが、その進化は本当に、ユーザーが求めているものだろうか。見た目にだまされず、見えないもの――時間に着目すれば、なぜSecond Lifeがバッシングされ、ニコニコ動画が受け入れられたか分かってくるだろう」

コミュニケーションの「同期」と「非同期」

 3サービスは、ユーザーがネット上でコミュニケーションするという点で共通する。だがコミュニケーションの「同期性」で見るとそれぞれ異なっており、Second Lifeは「(真性)同期」、Twitterは「選択同期」、ニコニコ動画は「疑似同期」――と濱野さんは分類する。

 同期的なコミュニケーションの代表例は電話やインスタントメッセンジャー(IM)で、基本的に、お互いに同じ時間を共有する必要がある。これに対して非同期的なコミュニケーションは、同じ時間を共有しなくていい形態。手紙や書籍などがその代表例となる。

Second Lifeの「同期」の古さ

画像 Second Lifeの企業SIMは、どこに行っても閑散としている

 Second Lifeは構造上、どうしても閑散化しやすいという。「Second Life報道は過熱したが、実態は閑散としていた。『3D』という見た目は新しいかもしれないが、時間軸で見ると、IMと変わらない『古い』サービス」――濱野さんはSecond Lifeをそうぶった切る。

 Second Lifeのコミュニケーションは同期的。アバター同士が出会おうとすると、同じ時間に同じ場所にいなくてはならない。これは現実社会と同じ仕組みだ。「1つの場所にいると、他の場所にいるチャンスを失う。人と人とが出会える機会が少なく、閑散化リスクが高い」

 これに「企業によるSIM(島)開発などで、土地が際限なく広がる」「テレポートできる」という仕様が、閑散化にさらに輪をかける。ユーザー増のペースよりもはるかに高速に土地が広がっていくため、混雑しにくい(盛り上がりにくい)上、ユーザーはテレポートですぐにその場を離れられるから、ちょっと混んでいた場所もすぐに閑散としてしまう。

 加えてSecond Lifeには、1つのSIM(島)に数十人しかアクセスできないというシステム上の限界もある。「東京など大都市をSecond Life上で再現しようとする例があるが、Second Lifeのアーキテクチャを全く理解していない愚行だ。大都市なら1万〜2万人はいないとまずいはずだが、大きな島に数十人しか入れないなら閑散とするのは当然」

 たとえ1SIMに1000人入れるようになったとしても、人気のあるSIMに人が集中し、人気のないSIMは閑散とする――という傾向にさらに拍車がかかると見る。「現実社会と同じで、過密地域と過疎地域が極端に分かれるだろう。こういったアーキテクチャでは、閑散としていない空間を作ること自体がが難しいのでは」

 ただ「Second Life自体がダメなのではない」と濱野さんは付け加える。「大都市を作ろうとするのではなく、時間や参加者を限ったシークレットパーティーを開く、といった方向性ならSecond Lifeと相性がいいだろう」。同期的コミュニケーションは、時間と機会を区切り、ユーザー同士が必ず出会って盛り上がれる仕組みを備えてこそ意味が出てくる――という訳だ。

Twitterの「選択同期」

画像 電話やIMといった同期的コミュニケーションには沈黙の気まずさがあるが、Twitterにはそれもない。「ケータイメールやケータイブログに似た仕組み。ケータイコミュニケーションをある種、バカにしていたヘビーなネットユーザーが、それに似たTwitterを支持している、というのが面白い」と濱野さん

 Second Lifeが「真性同期的」であるのに対して、Twitterとニコニコ動画は非同期と同期の特徴を組み合わせた新しい時間軸を持つという。それは「客観的に見ると非同期的だが、主観的には同期的」というもの。「100年に1度といっていいほどの革新で、ヴァルター・ベンヤミン的な構図そのものを崩してしまうものとすら言える」

 Twitterは、自分の好きなタイミングで、好きな内容を投稿できる。他ユーザーとの時間を共有する必要はない、非同期的なサービスだ。だが、他ユーザーと偶然同じタイミングで投稿して何となく語り合ったり、タイミングがずれていても、同じテーマについてお互いにアクションを起こす――といった形で、散発的・突発的に、同期的コミュニケーションが起きることがある。

 例えば、ある人が「夕ご飯はカレーを食べた」と書き込んだとしよう。その書き込みを見た他ユーザー2人もカレーを食べたくなり、食べてそれぞれ「俺もカレーを食べた」と書き込む。これら計3つの「カレーを食べた」という書き込みは、客観的に見れば、それぞれバラバラに投稿された独り言で非同的なもの。だが当事者3人にとっては連続した投稿で、同期的コミュニケーションとしての性格を帯びてくる。

 濱野さんはこれを「選択的同期」と呼ぶ。電話やIM、Second Lifeのように、強制的に同期させられるのではなく、ユーザーの自発的な「選択」によって、コミュニケーションが生まれるためだ。

ニコニコ動画の「疑似同期」とは

 Twitterは時間軸上にコメントが順に投稿されていく仕組みだから、ユーザー同士はある程度は時間を共有している。これに対して「ニコニコ動画」は、まったく違う日時に動画を見たユーザーが、まるで同じ時間を共有しているかのように見える「擬似同期」の性格を持っている。

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