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「事実無根」では不十分? 従業員の「炎上」、企業の対応策は炎上コンサルタントに聞く

» 2007年12月07日 17時02分 公開
[ITmedia]

 mixiやブログ、動画投稿サイトなど、ユーザーが手軽に情報発信できる場が一般的になってくるに伴い、企業に新たなリスクが生まれている。企業の評判を傷つけるような内容が、いつどこで投稿なされるか分からない――というリスクだ。

 ここ数日、アルバイト店員や派遣社員のmixi日記・投稿動画がネット上で「炎上」し、企業の信頼を揺るがすという事態が、吉野家、三洋電機、ケンタッキーフライドチキンといった大手企業・ブランドで相次いだ。

 吉野家ではアルバイト店員が、「テラ豚丼」と称する大盛り豚丼を店内で作る様子を撮影して「ニコニコ動画」で公開。三洋では、子会社・鳥取三洋電機の工場で携帯電話「INFOBAR 2」の検査を担当する派遣社員が「欠陥品をそのまま流している」などとmixi日記に書き、ケンタッキーの元アルバイト店員は「店内でゴキブリを揚げた」とmixi日記に“告白”。それぞれの投稿に批判コメントが殺到して「炎上」状態になったほか、掲示板やブログなどに転載されて騒ぎは広がった。

 吉野家はユーザーから指摘を受けて調査し、動画撮影が店内で行われたことを確認。客に対し「大変不安、不快な思いをさせてしまった」などと謝罪に追い込まれた。三洋電機と日本ケンタッキー・フライド・チキンは「書き込まれた内容は事実無根で、書き込んだ本人のいたずら」などと発表した。

企業は「炎上予防」せよ

 「炎上の現場は、2ちゃんねるの『祭り』からブログやmixiへ、そして最近では『ニコニコ動画』『YouTube』まで、CGM(Consumer Generated Media)系サイト全域に広がっている」――「ブログ炎上」(アスキー)などの著書がある炎上コンサルタントの伊地知晋一さん(ゼロスタートコミュニケーションズ専務)はこう指摘する。

 自社に関する投稿で炎上が起きた場合、投稿の内容がたとえ事実でなくても、まずは謝罪したほうがいいと伊地知さんは言う。

 「今回の3つの例では、実際に企業のブランドイメージが傷ついている。それぞれ個人的な行為とはいえ、企業の従業員や元従業員がやったなら、事実無根でも『ご心配をおかけした』と謝罪した方が沈静化は早まるだろう。『事実無根というコメントだけでは信用できない』――といった反応もネット上で起きている」

 ただ「炎上が起きてしまった後では可能な対策も限られる」とし、重要なのはやはり「炎上予防」だと説く。「ブログやSNSに投稿する際、炎上しやすいパターンにどのようなものがあるかを企業が従業員に示し、注意をうながすことで“炎上リスク”を軽減できるだろう」

 過去に発生した炎上のパターンはある程度決まっているという。例えば(1)悪いマナーや反社会的な行為を自慢すること、(2)世論が分かれているような微妙な問題に関して発言すること、(3)根拠のないことで非難・侮辱したり、断言すること――などだ。

 「多くの従業員を抱える企業にとって、ブログやSNSなどの利用を禁止することは現実的ではない。ブログやSNSを一切書かせないようにするのではなく『書くのなら注意して下さい』と対応するのがいいだろう」

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