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「Googleのあらゆるサービスが提携対象」──ドコモが強調する“他社との違い”

» 2008年01月24日 20時27分 公開
[ITmedia]

 「サーチエンジンやGmailに限定されない。Googleのあらゆるサービスが提携の対象。Googleからはどんどんいいサービスが出てくる。それをiモードユーザーに使ってもらう」──1月24日、Googleとの提携を発表したNTTドコモの夏野剛執行役員は、Googleとの提携で先行したKDDI(au)との違いについて説明した(ドコモとGoogleが提携 正式発表)。

photo (左から)提携を発表するドコモの夏野氏、Googleのコーデスタニ上級副社長、ドコモの辻村常務、グーグルの村上社長

 両社で協力し、公式サイトと一般・PCサイトを網羅的に検索できる新サービスに加え、Googleサービスのiモード対応を進める。Gmailを皮切りに、年内に数種類のアプリ・サービスの投入を計画。「Googleマップ」は地図アプリとしてiモード端末に標準搭載する方針だ。

 さらにAdWordsの本格導入などで、モバイル広告売り上げを100億円規模に拡大する目標も掲げる。Googleのモバイルプラットフォーム「Android」を搭載した端末の発売も検討する。

 夏野氏は「iモードはインターネットじゃないと言われた時期もあったが、一貫して『インターネットのモバイル化』を進めてきた。インターネットのシンボリックな存在であるGoogleと提携することで、ネットのモバイル化を進めたい」と話した。

 Googleのオミッド・コーデスタニ上級副社長も「ドコモはモバイルインターネットサービスの生みの親。長期的な提携関係にしたい」と期待。日本法人の村上憲郎社長は「日本のモバイルビジネス展開はGoogle全体にとって重要。グローバルモバイルビジネス戦略にとって、ドコモとの提携は極めて重要だ」と話した。

ケータイ検索を身近に

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 今春をめどに、iモード検索サービスをリニューアル。検索結果に、従来のiモード公式サイトの検索結果に加え、携帯電話向け一般サイトとPCサイトの検索結果を表示する。検索は、iモードポータル「iMenu」トップページに新設する検索窓から容易に行えるようにし、ユーザーを検索に誘導する。

 現在は一般・PCサイトを検索する場合、ユーザーが各検索サイトにアクセスする必要があったが、今後はiモードポータルから網羅的に検索できるようになる。「ケータイで検索エンジンを使ったことがないユーザーなど、全てのユーザーに検索を身近にしたい」(夏野氏)

 公式サイト検索は「goo」(NTTレゾナント)の技術を活用してドコモが提供し、一般サイトとPCサイトの検索はGoogleエンジンを活用する形にする。検索結果ページに表示する検索連動型広告も、公式サイト部分にはドコモと電通が共同出資するディーツーコミュニケーションズ(D2C)の広告を、一般・PCサイト部分にはGoogleのAdWordsを表示する。「いいとこ取りというか、一番いいものを載せていくということ」(NTTドコモの辻村清行常務執行役員)

 今後、プリインストールする「Googleマップ」アプリとの連動など、検索サービスとアプリとのシームレスな連携を検討していく。

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Googleサービスのiモード対応

photo Googleマップを標準搭載する一方、資本提携したゼンリンデータコムの地図アプリも引き続き搭載。「ナビゲーションは別のノウハウが必要」(夏野氏)

 既に「N905i」「F905i」にプリインストールされているGoogleマップのアプリを、今後はiモード端末に標準搭載する。またGmailや「Picasa」、「Googleカレンダー」なども順次iモードに対応させる計画だ。

 提供形態は「ニーズを見ていく。アプリ化したほうが価値が上がるものはアプリ化し、Webのほうがいいものは連携させていく」(夏野氏)。例えばGmailなら、アプリ化することでステータス表示機能を活用できるなど、さまざまな可能性を検討していく。

 auもGmailを活用し、独自メールアドレスを付与するWebメールサービス「au one メール」を提供しているが、夏野氏は「あのようにはしない。あれならGmailでいいじゃないですか」と話した。

 Googleは同日、NTTドコモ端末によるYouTube動画の再生に対応した。対応機種は904iシリーズ以降。動画はiモーション方式で配信する。「次の機種からFlash Videoに対応し、YouTubeをフルブラウザから自由に見られるようになる」(辻村常務)

 今後発売するフルブラウザ搭載端末は、フルブラウザのスタートページにGoogleを標準設定する。

Androidの良さをドコモに取り入れる

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 Android端末の商用化も具体的に検討。具体的に明らかにはしなかったが、既に社内的なターゲット時期を決め、開発を進めていく方針だ。

 夏野氏は「905iプラットフォームはかなり強力だが、Androidのプロトタイプを見ると、貧弱なハードでもよく動いている。良いところは900/700シリーズの開発にも取り入れていきたい」と話し、Androidというオープンプラットフォームでのiモード対応にも期待を込めた。

 モバイルマーケティングでも協力。D2Cで培ったノウハウとGoogleのAdWords/AdSense技術などを連携させた新しいサービスを共同で検討。広告売り上げを100億円規模に引き上げ、各社で分け合う形にしていく。

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