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» 2008年04月15日 18時37分 UPDATE

Google Apps導入の米私立大学、学生にiPhoneを無料で配布

Google Appsを採用しているアビリーンクリスチャン大学では、新年度に学生と教員にiPhoneを無料で配布する計画。iPhone SDKにより、近いうちにiPhoneでGoogle Appsが動くようになる予定だ。

[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK

 米テキサス州アビリーンクリスチャン大学のCIOケビン・ロバーツ氏は2006年、メール管理者が退職すると知らされたときには、ショックで気が動転したという。

 だが同氏は深呼吸して、自分に与えられた選択肢を検討した。そして結局同氏は2007年、既存のSun Java System Messaging ServerやSun Java System Calendar Server、そして欠陥だらけのMicrosoft Exchange Serverを自身で管理したり、新たにメール管理者を雇う代わりに、Google Apps Education Editionを導入することを決断した。

 「Google、Microsoft Live、Exchange、そしてSun Microsystems製品などの選択肢を比較検討してみたところ、SaaS(サービスとしてのソフトウェア)のアプローチこそが時間も予算も節約できる方法であることは明白だった」とロバーツ氏。そしてGoogle Appsへの移行に伴い、同氏は新たに開発者を雇うことでメール管理者の穴を埋めることができたという。

 さらにロバーツ氏によると、この選択のおかげで、同大学では現在、人件費、ライセンス料金、ストレージとサーバの保守コストで少なくとも年間10万ドルは節約できているはずという。

 「われわれにとっては重大な決断だった」とロバーツ氏はeWEEKの取材に応じ、語っている。アビリーンクリスチャン大学でGoogle Appsを利用できるようになったのは2007年4月11日のことだが、その際、同大学の5000人以上の学生のうち80%がGoogle Appsを使うことを選んだという。

 今年の秋には、状況がさらに改善されることになりそうだ。アビリーンクリスチャン大学は今秋、教員と約900人の新入生に米Appleの「iPhone」か「iPod touch」のいずれか一方を無料で配布する計画という。教員については、iPhone本体と利用料金の両方を大学が負担するが、iPhoneを選択した学生に関しては、AT&Tのサービス利用料金は学生が自分で支払うことになる。

 この配布は、Appleにとって大きな契約となるのはもちろんのこと、検索大手のGoogleにとっても同じくらいに重要な意味を持つことになるかもしれない。Googleの検索やGmail、YouTubeなどのアプリケーションは現在、iPhone向けに最適化されている。

 既にアビリーンクリスチャン大学で6000人以上の学生と教員が1年以上前からGoogle Appsを使っていることを考えれば、Googleは最小限の手間で何千人ものiPhoneユーザーにGoogle Appsを使ってもらえることになる。

 「メールやカレンダー機能のないスマートフォンでは、ほとんど役に立たない。GoogleがiPhoneに最適化されているという事実はわれわれにとって大きな強みだ」とロバーツ氏。

 なお、同大学の学生は今後もノートPCや構内のデスクトップPCからGoogle Apps Education Editionに無料でアクセスできる。

 Education Editionには、Google Apps Standard Editionと同じアプリケーションが含まれているが、広告は一切含まれず、APIへのアクセスとサポートが提供される。

 またEducation Editionには、Google傘下のPostiniのセキュリティソリューションは含まれていない(ただし、66%の割引価格で提供されている)。ストレージ容量はPremier Editionが25Gバイトであるのに対して、Education Editionは6.5Gバイトだ。

 ロバーツ氏によると、学生の間ではGmailアプリケーションに続いてGoogle Chatの人気が急速に高まり、DocsとSpreadsheetsも着実に採用が拡大しているという。

 こうした急速な採用は恐らく、大学生の間でGoogleの人気が高いことの証だろう。今の大学生たちは10年以上も前からGoogleでWebを検索して育ってきた世代だ。

 Microsoft OfficeやIBM Lotusといった従来の製品の代わりとして、あるいはそれに追加してGoogle Appsを採用している中規模企業についてはいろいろ語られているが、恐らく最も多くのユーザーを抱える採用者は大学などの高等教育機関だ。

 GoogleはGoogle Appsを採用している大学やその学生および教員の数については具体的な数字の公表を断っており(数千の学校で数十万人のユーザーにより使用されているとみられている)、アプリケーションごとのユーザー数についても具体的なデータは公表していない。

 ただしGoogle Apps for Education担当のビジネス開発マネジャー、ジェフ・ケルトナー氏によると、同社は現在Google Analyticsを使って顧客がアプリケーションの使用状況を把握できるようにするための取り組みを進めているところという。

 なおMicrosoftはOfficeを採用している大学から利益を上げているが、GoogleはGoogle Apps Education Editionからはそうした利益を上げていない。ただし今後もMicrosoftからGoogleに移行する大学が増え続け、Google AppsとiPhoneの組み合わせが広まるようであれば、そうした状況も変化するかもしれない。

 大学では多くのコンピュータ処理能力とストレージが必要となるため、いずれ各大学は1ユーザー当たり年間50ドルのGoogle Apps Premier Editionに移行する可能性もある。そうした契約が何万、あるいは何百万という単位で増えることになれば、Googleのエンタープライズビジネスの投資回収率は向こう数年間でかなり改善されるだろう。

 もっとも、MicrosoftのアプリケーションはGoogleと比べて市場シェアがはるかに大きく、エンタープライズレベルの機能性という点でもMicrosoftがGoogleを上回っている。Googleはサービスレベル契約(SLA)を提供しておらず、サポートもMicrosoftのレベルには遠く及ばない。いずれは違いの分かるビジネス顧客も取り込みたいという考えであるのなら、Googleは今後そうした要素に取り組む必要があるだろう。

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