矢野:掲示板で悪口を言うのも、さびれた掲示板で、見る人が限定されてたらいいのかもしれませんが。
古川:リアルに近い、本人が分からないような小さなコミュニティーで悪口を言うのは、別にいいかなとも思います。
矢野:でもそれがさらされて本人が見たらね……。それを苦にして自殺する人がいるんだから「俺なら耐えられるよ」とか言ってる場合じゃないですよね。
――見なければよかった、ということでしょうか。
古川:と思いますけどね。
矢野:スルーできればいいんだけど。
古川:気付かないほうがいいですよね。自分が悪口が書かれてるの、嫌じゃない。
――学校裏サイトが大々的に報道されたことで、仲間内の小さなコミュニティーが発見されてしまった、ということでしょうか。
古川:発見もあるし、じゃあ作ってみようと思う人も多いよね。さとるが高校生だったらぜったい作ってみようと思うよね。
矢野:うん。
――なぜ作りたいんでしょう。
矢野:何でだろう……。面白いからっていう。それだけなんですけど。でも、さすがにそれを苦にして自殺するってことまでは考えられていないと思います。悪意があって作るのではなく、みんなといろいろやりとりできたら面白いなと思って作るんだけれど、だんだん悪意のある人も入ってきて、悪い流れになるかもしれない。
――学校掲示板ではどうしても、悪口や中傷が書かれることが避けられないようです。それでも掲示板はあったほうがいいと思いますか?
古川:思います。そういう場では友達がいない人は情報を集められないから。ぼくは予備校時代、友だちがいたので、情報をもらえたんだけれど、そうでない人はダメな先生の授業を取っちゃっていて「なんだかなぁ」と思っていました。
「友だちがいない人が、ネットに行くと人と話せる」みたいなのがいいなぁと思っていて。「ミルフィール」という交流サイトを最近作ったのですが、友達のいない女子中学生のためのサイトにしたかったのです。
画面の向こうに人がいて、やりとりできてるっていいよねっていう、最初にネットやったときぐらいの感動をまだ持っているのがあるんですよね。そういうサイトをやりたいという、割といい話です(笑)。
矢野:うん、最初はネットのそういうところに感動したよね。
匿名掲示板は、身分を明かさなくても気兼ねなく話せる、アウトプットできる唯一の場所という感じがします。そこに居座って、住みついている人は“住人”とも呼ばれるけれど、それぐらいの感覚の人もいて。自殺掲示板だと、そこで癒されて自殺やめようと思った人も中にはいると思うし、自殺の相談にのることで、誰かに必要とされていると実感して、自分自身の価値を見出す人もいます。
告発にも利用されています。いじめられている動画がネットにアップされていて、「これっていじめじゃね?」という2chのスレが立って、最終的に学校を特定して電凸して、いじめた本人が自主退学になったりして。そういう面もあります。
→次の記事:「裏サイト問題」を解決するにはに続く
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