「お前らの作品は所詮コピーだ」――富野由悠季さん、プロ論を語る(1/5 ページ)
「機動戦士ガンダム」の監督として知られる富野由悠季さんが10月27日、「東京コンテンツマーケット2008」(独立行政法人・中小企業基盤整備機構関東支部主催)のトークセッションに登場し、「プロフェッショナル・クリエイターの条件」というタイトルで自らの“プロ論”を披露した。
「自分流の言葉づかいしかできなくて本当に申しわけない」と言いながら、集まったクリエイターに刺激的な言葉を投げかける富野さん。セッションは、コンテンツ関連のコンサルティングを手がけるQPRの清田智社長との対談形式だったが、事実上富野さんの独演会だった。
「コンテンツ」という言葉はおかしい
セッションのタイトルは「プロフェッショナル・クリエイターの条件」ですが、これは無理やりつけたタイトル。ここにいる人(コンテンツマーケットの出展者など)はプロクリエイターの条件を満たしてますから。ぼくみたいなロボットアニメの専門家がぐだぐだ言うことは一切ありません。
コンテンツコンテンツと言うが、コンテンツは趣旨とか内容という意味。それがない作品はあり得ない。作品はコンテンツがないと作品にならないんですよ。でもなぜこの10年ぐらい、コンテンツという言葉を表に出すようになったのか。とってもおかしいよね。
コンテンツビジネスと言うけれど、ビジネスにするためには中身がないとビジネスになりようがない。なんでコンテンツという言葉が流通して、そんな言葉を平気で使えるのだろうか。みんな慣れちゃっているけれど。
CGで独自のものが作れるわけがない
みなさん方の時代は不幸だ。コンテンツマーケットの会場にはCGを使った作品が多いが、同じソフト使ってたら独自の物は作れるわけないと思う。みなさんはそう思ってないでしょうが。
水彩絵の具や鉛筆、コンテ、油絵の具などで描いていた時代は、多様な描き方があったんです。だがCGを使って描き始めた時、みんな基本的にほとんど同じじゃない? 質感の違いを誰が突破してる? どこかのソフトメーカーが作ったものを使ってその上にぺたぺた貼り込みしているだけでしょ。
キャラクターのことで言えば、みんなが好きなキャラを作って、それが全部売れているかというと、売れていないじゃない。それでもキャラクターを作ったと思っているのは、めでたいよね。それがクリエイティブなアートだとなぜ思うのか。それは今、みんながそういう言葉使いをしているだけ。
技術や言葉はとても恐いことがあって、自分はとても独自なことをやってるつもりでもほとんどコピー、まねのレベル。そこから抜け出すために……プロクリエイターになるにはどうするか。プロで重要なことは金もうけできるかどうか。食えないとしょうがないんだから。食えてなんぼ。
食えるための方法は、時代に振り回されたらダメですよ。左右のブースと似たようなことをやっちゃだめ。「自分のは独自性があります」と言うかもしれないが、お前程度の価値基準で独自性があると思っちゃダメなんだよ。所詮(しょせん)それはコピー。だってCGでアニメやってるんだろ。今アニメなんて国でさえ持ち上げてる。それに乗ってるだけじゃない。
みんな生き延びられないところで仕事している
私が鉄腕アトムのアニメを始めたとき(富野さんは虫プロダクションでアトムの制作に関わっていた)、「アニメ」っていう単語で青色申告できなかったの。税務署行くたびに「これどういう職業ですか」と聞かれて一から説明しないといけなかったの。
今はみんなアニメを知っていて、みんなやってる。1万人の中で1等賞になるのは大変。1等賞ならこうやって(私のように)生き延びられますが、みなさんがたは基本的に生き延びられないところで仕事している。そりゃ大変でしょうね。
まわりの1万人をぶっ倒す。それぐらい力のある、それこそ“コンテンツ”を作るにはどうしたらいいかというと、いやぁ、コツコツやるしかないですよ。それだけ。おしまいです。
手塚治虫先生もそうだったと思うんですが、人一倍寝ないで人一倍ペンを動かす。なぜ腱鞘炎にならないか謎でした。5時間寝たら寝過ぎという体になっちゃっていました。それくらい働いていたというだけ。基本的に体力勝負なんです。
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