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» 2008年12月18日 16時00分 UPDATE

中小企業に浸透するiPhone、シェア1割到達へ

Forrester Researchは、iPhoneのSMB市場でのシェアは、2009年には10%に達する見通しという。

[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK

 米AppleのiPhoneはビジネスレベルのスマートフォンとしては専門家から常々その実力を疑問視されているが、調査会社Forrester Researchの最新の調査報告書によると、2009年には中堅・中小企業(SMB)市場でiPhoneのシェアは10%に達する見通しという。

 「米国では今後もBlackBerryやWindows Mobile搭載端末が人気を集めるものの、Appleが今年iPhone 3Gをリリースしたことで、企業はiPhoneのMac OS Xのサポートを追加する可能性についても検討するようになった」とForrester Researchのアナリスト、マイケル・ペリーノ氏は12月17日、eWEEKの取材に応じ、語っている。

 AppleがiPhone 3Gをこうした有利なポジションに置くことができたのは、同社がiPhoneでMicrosoft Exchange ActiveSyncのほか、メール、連絡先、カレンダーなどの機能をサポートしたからこそだ。また、盗難や紛失時にリモートワイプ機能を使って端末内のデータを消去できるようになった点も大きい。主要なメールサーバであるExchangeのサポートとセキュリティ機能は、事実上、企業がスマートフォンの採用を決める上での基本的な要件となっている。ペリーノ氏は調査報告書で次のように指摘している。

 「そのため、iPhoneはエンタープライズモバイル市場にさらに大きな影響を及ぼすことになるだろう。中心となるのは、主にSMB市場だ。SMBでは通常、大企業ほどIT要件が厳しくなく、基幹業務アプリケーションが広く導入されているようなこともないからだ」

 iPhoneの最大の競争相手となるのは、Googleの携帯OS「Android」を採用したT-Mobile G1ではないようだ。ペリーノ氏によると、既にResearch In Motion(RIM)のBlackBerryをサポートしている大きめの企業にとっては、むしろBlackBerry Stormの方がiPhoneの代替選択肢になり得るという。iPhoneやG1と同様、BlackBerry Stormにはタッチスクリーンが採用されている。

 実際、ペリーノ氏はG1についてはまだ顧客と会話が弾んだことがないという。「わたしに寄せられる問い合わせでは、G1はまだレーダー画面に映ってすらいない。当社がSMBと大企業を対象に第1四半期に実施する調査で、G1がどのあたりに登場するかが楽しみだ」と同氏。

 これは当然といえば当然のことだ。G1は10月にリリースされたばかりであり、しかもこの端末はExchangeを一切サポートしていない。GoogleはG1を皮切りに、Google検索やGoogle Appsを提供する同様の携帯端末が今後多数登場するものと期待している。

 BlackBerry端末やWindows Mobile端末のほか、NokiaのSymbian OS搭載端末(欧州で人気)、Palm端末、iPhoneなどの携帯端末は、2009年にも2008年と同様のペースで市場をリードすることになりそうだ。世界的な景気後退にもかかわらず、企業は生産性向上に向けて今後も携帯端末の導入を積極的に進めるとみられている。

 Forresterが北米と欧州で実施した調査では、それぞれ40%から60%程度の企業が2009年の優先課題としてモバイル技術のサポート拡大を挙げている。

 ユニファイドコミュニケーション・コラボレーション(UCC)技術が企業の出張コスト削減に貢献したのと同様に、スマートフォン対応のモバイルエンタープライズアプリケーションのおかげで、企業の従業員は今後、実際に現地に出向かずとも仕事をこなせるようになるだろう。また、出張を省くことで時間も節約できるため、生産性はさらに高まる。

 「多くの企業は既に基底のインフラに投資しており、市場には各種の端末が出回っている。さまざまな機能もそろっている。景気とは無関係に、企業は今後も携帯端末を使い続け、その勢いが止まることはないだろう」とペリーノ氏は指摘している。

 興味深いことに、SMB市場ではモバイルプロジェクトの優先順位が低くなりそうだ。経済が厳しい時期には、SMBは自社のコアビジネスにフォーカスすることになるからだ。

 さらにペリーノ氏は、モバイル世代の従業員の増加に注目している。同氏が言うところのモバイル世代の従業員とは、幹部秘書のほか、人事部や財務部で働く新卒スタッフなど、RIMやPalm、あるいはAppleの携帯端末を使って成長してきた若い世代の従業員だ。こうした従業員には、自分の席に座っているときでも携帯端末を使って仕事をしたがる傾向がある。

 ペリーノ氏は、この世代の従業員の数が2009年末までに10%近くに増え、さらに2012年まで年間46%の成長率で増え続けると予想している。この10%という数字が、SMB市場におけるiPhoneのシェア予測と一致しているのは偶然ではない。ペリーノ氏によると、こうしたモバイル世代の若者の大半は実際にAppleの人気の携帯端末を使っているという。

 それでも、同氏によると、ベンダー各社は既にそうしたユーザー層を念頭に製品やサービスの開発を進めているという。例えば、Nokiaのスマートフォン「E71」では、私用と仕事での併用を想定し、複数のユーザー設定を行えるようになっている。プリファレンスとアプリケーションをそれぞれ別個に設定できるのだ。

 また当然のことながら、景気後退は企業にとって、優れた人材を確保したり、競合や補完関係にある企業を安値で買収したりするチャンスでもある。エンタープライズモバイルの世界でもそれは同じだ。この業界では、既存のベンダーや新規参入ベンダー、サービス企業など各社が、モバイルアプリケーションやデバイス管理、セキュリティソフトウェアの提供でしのぎを削っている。

 ペリーノ氏によると、Sybaseなどのモバイルミドルウェアベンダーのほか、Salesforce.comなどの顧客関係管理(CRM)プロバイダーまでもが、企業向けにロケーションベースのサービスを提供する自分より小規模なプロバイダーを買収する可能性が考えられるという。

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