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トヨタ初の営業赤字、IT・エレクトロニクス分野への影響は

» 2008年12月22日 18時31分 公開
[ITmedia]

 トヨタ自動車は12月22日、2009年3月期の連結営業損益(米国会計基準)が1500億円の赤字になる見通しだと発表した。同社の営業赤字は、データが公表されている1941年3月期以降では初めて。トヨタはIT・エレクトロニクス分野でも大きな存在。同社業績の急ブレーキに影響を受ける可能性もある。

photo 「TOYOTA METAPOLIS」

 毎年多額のプロモーション予算を持つトヨタは、ネット上の先進的な取り組みにもいち早く対応することで知られてきた。今年4月にスタートしたミニブログ「Twitter」の日本語版は世界に先駆けて広告掲載に取り組んだ、第1弾の広告主としてトヨタも名を連ねた(Twitter日本語版スタート トヨタが広告出稿)。今年9月に始まった「MySpace Music」では、音楽を無料ストリーミングで楽しめる同サービスのスポンサーとしてトヨタが参加している。

 トヨタは3D仮想空間「meet-me」を使ったプロモーションにも積極的に取り組んでおり、4月には押井守氏が監修した「TOYOTA METAPOLIS」をオープン。日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した「iQ」の発表時にも、仮想空間内でユーザーがiQを体験できるイベントを開催した。

 本田技研工業と並び、トヨタはロボット開発にも積極的。8月には「Segway」のような移動支援ロボット「Winglet」の開発を発表している(トヨタ、立ち乗り&2輪の“移動支援ロボット”「Winglet」開発)。業績の急ブレーキがこうした研究開発活動に与える影響は現状では不透明だ。

photo パーソナル移動支援ロボット「Winglet」

 トヨタが象徴する自動車業界の絶不調はIT・エレクトロニクス業界には逆風になる。電子制御化された自動車は今や最も「チップイーター」(チップ食い)な最終製品。特にマイコンを展開する半導体各社は、車載製品を有望分野として注力してきたが、国内外の自動車販売の低迷は半導体各社の戦略にも大きく響く。

 家電各社のカーナビ販売や、ITを駆使したITS(高度交通システム)の先行きなど、産業の裾野が広い自動車業界の落ち込みが、IT・エレクトロニクス分野に与えるインパクトは小さくない。

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