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» 2009年05月27日 11時00分 UPDATE

これを見れば分かる! デジタル技術の仕組みと傾向(3):駅の壁でケータイ充電も 電磁誘導式ワイヤレス充電

携帯電話のワイヤレス充電技術が実用化されつつある。将来は、カフェの机や駅の壁で充電できるようになるかもしれない。

[小笠原由依,ITmedia]
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うわー、また携帯電話が壊れちゃった。


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……何したの?


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何にもしてないよー! ちょっと力を入れて充電器のコネクタを抜き差ししてたら端子が折れちゃったみたい。


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(絶対ちょっとじゃない) 乙女ちゃん、よく携帯電話を壊すよね。前はトイレに流してなかったっけ?


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そうなの、端子が折れたのも今回が初めてじゃないんだよー! わーん! コネクタのばかっ!


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いや、乙女ちゃんの扱いに問題があるんじゃない……。


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乙女:ムサシくん……わたしの心の傷に塩を塗る気?


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だって本当じゃん。でもそんな乙女ちゃんにいい話があるよ。ワイヤレス充電って知っている? これが普及したらもうそんな壊し方しないかもね。


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何それ? もっと詳しく教えてください!



 カフェでお茶しながら、机に携帯電話を置いておくだけで充電完了――近い未来、そんなことが可能になるかもしれない。「ワイヤレス充電」を携帯電話に取り入れていく動きが進んでいるためだ。

 充電池(2次電池)に充電する場合、通常は専用の充電器に電池を取り付けたり、機器をACアダプタやクレードルなどに接続する必要があるが、ワイヤレス充電なら接続不要。カフェの机に充電器を埋め込んでおけば、机の上に携帯電話を置くだけで充電できる。

 ワイヤレス充電なら、充電時に端子をむき出しにしなくて済み、防水/防じん効果が高いため、現在、主に電気歯ブラシや、シェーバーなど水回りの製品に採用されている。近年、防水処理を施した携帯電話が増えており、携帯電話対応も検討されている。

ワイヤレス充電とは

photo 電磁誘導方式の伝送用コイル

 そもそもなぜ、ワイヤレスで充電できるのだろうか。その仕組みを解説しよう。

 ワイヤレス充電には「電磁誘導方式」「電波受信方式」「共鳴方式」と3つの方式があるが、現在の主流は電磁誘導方式だ。19世紀にイギリスの学者、マイケル・ファラデーが発見した物理現象「電磁誘導」を利用した方式で、2つの離れたコイルのどちらか1つに電流を流すと、2つが接触していなくてももう1つのコイルに電流が流れる。身近なものでは、IH調理器が電磁誘導の仕組みを使っている。

 電磁誘導方式のワイヤレス充電システムは当初、伝送効率が10〜20%と低く、電流のほとんどは熱に変わってしまっていた。大きな電流を送ろうとするとコイルが発熱してしまうため、ある程度電力を必要とするモバイル機器には利用できなかった。

 この課題を最初に解決したのは、セイコーエプソンが2003年11月に開発した無接点電力伝送モジュール「AirTrans.」だ。充電器側と電池側の各コイルの周波数特性をマッチングするなどし、70%以上まで伝送効率を高めた。伝送能力が上がったことで、充電時間の短縮や、充電池の大容量化ができるようになった。

 課題はまだある。金属をコイルに近付けると発熱してしまうことだ。例えば、携帯電話充電中に、本体と充電器の間に金属が挟まると、IH調理器に載った鍋のように発熱してしまうのだ。

 「安全性を高める機能の開発が難しかった」と、エプソンの瀬良英明さんは話す。

photo 携帯電話型の見本と、充電台の見本

 安全性を確保するため同社は、(1)金属が充電台の上に乗ったら電力伝送を止める、(2)伝送前や伝送中に充電器側と電池側でID認証を行い、関係ない機器には伝送しない、(3)充電器が発熱した場合は伝送を止める――という機能を開発。充電器上で電流を放出する範囲も、必要最低限の広さに抑え、発熱などの危険性を回避したという。

サルーンで採用 置くだけで携帯充電

 エプソンは現在、電動歯ブラシなどで採用されている「AT05」(出力0.5ワット)と、携帯電話の充電にも対応可能な「AT25」(出力2.5ワット)を販売している。

 AT25は、携帯電話向けで採用が始まっている。最近では、BMWの韓国法人が高級車サルーンの7シリーズのセンターコンソールにAT25を採用。韓国Samsung Electronics製のタッチパネル携帯電話「OMNIA」を置いて充電できる。

どこでもケータイ充電を

 どこでもケータイ充電を――駅構内の柱や壁、バス停、公園、カフェの机など、さまざまなな場所で充電できる「公共充電インフラ」を目指し、エプソンと村田製作所は「ワイヤレス急速充電システム」の研究・開発も進めている。

 村田製作所の急速充電技術を組み合わせ、携帯電話を約10分間でフル充電できる出力15ワットのモジュールを開発中。2009年末のサンプル出荷を目指して開発を進めている。

 壁や机などの広範囲でも、コイルを複数並べることでワイヤレス充電の環境を作ることはできる。携帯電話の電池パックをワイヤレス充電対応のものに替えるか、コイルを貼り付けた裏ぶたを使うなどすれば、既存の携帯電話でもワイヤレス充電できるようになる。

 「電池がなくなって困るのは屋外なので、屋外で充電するスタイルが根付けばいい」と瀬良さんは期待している。


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おおっ……わたし充電もすぐ切れちゃうんだよねぇ。外で充電できたらいいだろうなぁ。


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便利だよね。コンセントを貸してくれるカフェも、昔よりは増えてきたけどまだまだ少ないし。ノートPCを充電する仕組みも開発中らしいよ。


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へぇ、すごいねぇ。


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は、はい! お願いします!


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ワイヤレス充電 | 携帯電話 | 充電器 | 乙女


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