イラスト選んで119番 文字や音声不要で意思伝達「VUTE」、NTTがデモ公開
NTT(持ち株会社)は8月18日、Webブラウザ上でイラストを選ぶだけで意思伝達ができるシステム「VUTE」(Visualized Universal Talking Environment)のパイロット版を公開した。日本語が分からない外国人や耳の不自由な人でも円滑に意思疎通できるシステムを提供する狙いで、実用化に向けて開発を進めている。
工学院大学、沖コンサルティングソリューションズと共同で受託した、総務省「戦略的情報通信研究開発推進制度」の2008年度新規採択課題の一環。
公開したパイロット版デモサイト「VUTE 2009」は、119番通報を想定。「ピクトグラム」(絵記号)と呼ばれるイラストが、2択~4択で順に提示される。イラストは、火事や事故、けが人の数など119番に必要な内容を示しており、順に選んでいけば、内容に応じた文章を生成。文章は合成音声で読み上げることもできる。
例えば、火事→ビル→けが人がいる→2~3人のけが人がいる→重傷という順でピクトグラムを選ぶと、「火事です。ビルが燃えています。ケガ人が2、3人います。重傷の人がいます」と表示。名前や現在地をあらじめテキストで入力しておけば、文章の最後に「場所は○○、私の名前は△△です」と表示される。
ピクトグラムは、手話や漫画の手法を取り入れて開発。Flashで動きもつけ、誰でも分かりやすいよう配慮した。選択肢のピクトグラムの下には、女性のイラストを配置。女性が選択肢を順に指さし、どれか1つを選ぶよう促す。
パイロット版を日本語が分からない外国人や耳の不自由な人、健常者などさまざまな人に試してもらったところ、平均38秒で最後までたどりついたという。
パイロット版は有効性を検証するために開発したもので、実際の119番通報には使えないとしているが、システムが実用化すれば、生成した文章を周りの人に見せて通報してもらったり、メールとして送信したり、音声に合成して119番の電話口で再生する――といった使い方ができる。システムは携帯電話やスマートフォンに組み込み、現在地はGPSから自動取得する仕組みにしたいという。
実用化に向け、今後も研究開発を続ける。ピクトグラムの種類を増やし、表現力も高めるほか、ピクトグラムの標準化も視野に入れている。緊急通報だけでなく旅先での意思伝達などにも使えるようにする計画で、実用化まであと数年かかる見通しだ。
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