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日本に進出する「Groupon」とは 創業2年で驚異の急成長、世界29カ国に展開(1/2 ページ)

» 2010年08月18日 20時35分 公開
[岡田有花,ITmedia]
画像 Groupon創業の地・シカゴ地域のGrouponトップページ。バレエ公演をディスカウント販売中

 クーポン共同購入サービスの最大手の米Groupon(グルーポン)が8月18日、日本進出を発表した。2008年11月の創業以来急成長を続け、現在、欧米を中心に29カ国でクーポンを提供、2010年の売上高は3億5000万ドル(約300億円)、企業価値は13億5000万ドル(約1150億円)に上るとも報じられている

 創業者は、ペンシルベニア州ピッツバーグ生まれのアンドリュー・メイソンCEO(29)。6歳からピアノを始め、大学では音楽を専攻するなど、シリコンバレー出身の“ギーク”が多い米国のネット起業家としては異例の経歴の持ち主だ。

創業者はロックミュージシャン!? Grouponができるまで

画像 「シカゴで、彼女と20匹以上の猫と一緒に暮らしている」というメイソン氏のTwitter。壁紙やアイコンがロックミュージシャンらしく個性的だ

 メイソン氏はダイヤモンド商人の父親と写真家の母親のもとで育った。趣味は音楽。6歳でピアノを始め、ロックバンドも組んでいたという。「25歳ごろまでは、ロックミュージシャンになるつもりだった。ロックスターになるというより、カウンターカルチャーを体現したかった」と、メイソン氏はインタビューでこんなふうに語っている。

画像 社員が出演した合唱コンサートの様子を載せるなど、ユーモアのある企業紹介ページ「About Groupon」。メイソン氏はインタビューで、「会社が大きくなっても正しいことをやり続け、クールで楽しい職場を維持したい」と話している

 起業家としての活動は10代から。15歳のころにはベーグル配達ビジネスを、16〜17歳のころにはコンピュータ修理のビジネスを手掛けていたという。ノースウェスタン大学(イリノイ州)では音楽の学位を取得。起業家エリック・レフコフスキー氏が経営するシカゴのWebデザイン会社に就職し、ソフト開発者になった。

 望んだ仕事ではなかったが、働くうちに「技術は世界を変える」と興奮し、政策についての議論を樹形図状に整理する「Policy Tree」を開発。奨学金を得て06年、シカゴ大学の公共政策大学院に入学した。だが在学中に新サイトを構想、3カ月で中退した。

 新サイトとは、同じ目的を持った人がネット上で集まって署名を集めたりお金を出し合ったりできる「The Point」だ。構想を聞きつけたレフコフスキー氏から100万ドルの資金提供を受け、07年11月にサービスを始めた。

 The Pointは寄付金や署名集めなどに広く利用されたが、十分な広告収益を得られなかった。メイソン氏はThe Pointの仕組みが、購買力のあるユーザーを集められる点に着目。The Pointの1サービスとして08年11月、クーポン共同購入「Groupon」をスタートした。

共同購入の弱点分析 クーポン情報、Twitterで瞬時に

 商品の共同購入サイトは以前からあったが、購入プロセスが面倒だったり、購入可能と分かるまで長い時間がかかったり、AmazonやEbayなど購買力の大きい巨大ECサイトと戦わねばならない――といった弱点があった。メイソン氏はそういったサイトの失敗例を分析し、Grouponを設計したという。

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