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» 2012年12月04日 19時28分 UPDATE

ネット選挙活動解禁で何が変わるか 議員や津田大介さんら議論 (1/2)

ニコニコ生放送での党首討論が実現するなど、政治とネットの距離は確実に縮まってきている。ネット選挙活動の解禁を通じ、人々の生活と政治はどう変わるのか。与野党議員や津田大介さんらが議論した。

[本宮学,ITmedia]
photo 会場には多くの観客が集まった

 ネットを使った選挙活動の解禁への動きが強まる中、与野党議員やメディアアクティビストの津田大介さんなどが現状の課題や今後について議論するイベントが11月29日、東京・永田町の衆議院第一議員会館で開かれた。津田さんは「ネット選挙活動解禁法案は5年以内には絶対通る。法案をどう通すかよりも、解禁によって国民の日常と政治がどう変わるかを話し合いたい」と提案。新規候補者が議員になるためのハードルが下がるといった声や、政治の“極端化”をどう防ぐかといった意見が上がっていた。

 同会は、ネット選挙活動解禁に向け著名ブロガーやネット企業関係者らが立ち上げたキャンペーン「One Voice Campaign」が主催するイベントの3回目。賛同する民主の参院議員、自民の前衆院議員のほか、学識経験者や元陸上選手の為末大さんなども出席し、会場には数百人の観客が集まった。

ネット選挙活動解禁で“普通の人”も議員になれる時代に?

photo 津田さん

 日本でネットを使った選挙活動は公職選挙法によって禁じられているが、解禁すれば(1)選挙活動のコスト削減につながる、(2)国民にとって政治が身近になる――といった可能性がある。だが既に選挙活動でネットが活用されている米国では、メリットだけでなく新たな問題も浮かび上がってきていると津田さんは指摘する。

 「4年前の大統領選で、オバマ氏はSNSを使って個人献金を集めることで当選した。だが今回の大統領選では対立候補のロムニー氏も同様にSNSで個人献金を集めたため、オバマ氏はそれ以上の金額を集めることになった。この大量の資金が何に使われたかというと、メディアコントロールやネガティブキャンペーン。ネットによって印刷代などの物理的コストは削減できる反面、コンサルタントや広告代理店などに依頼したりと、実はかえってコストが増大してしまうのでは」(津田さん)

photo 藤末参院議員

 「日本ではそうはならない」と応じるのは、自身もTwitterを活用している民主党の藤末健三 参院議員。「まず、選挙に使う金額のけたが違う。米大統領選なら500〜600億円ほどの資金を投じるが、日本の選挙なら数十億円程度。また、日本では規制もがんじがらめなので、米国のように自由にいろいろやることは難しい」(藤末議員)

 また、“ネット政治献金”によって集まる金額の規模も米国と日本で異なるという。2009年にはネット上で個人が政治家に献金できるサイト「楽天政治LOVE JAPAN - ネットで政治献金」がオープンしたが、自民党の平将明氏(前衆院議員)によると、同サイトでは「実際に必要な資金の100分の1も集まらない」のが実情という。

photo 平氏

 ただし、小選挙区制度の導入により、中選挙区時代と比べて選挙活動に必要な金額自体は減ったという。「政治的地盤などの既得権益がなくてもネットを使えばそれ以上の情報発信ができるため、候補者が“新規参入”しやすくなるのは事実。情報発信ツールとしてネットを解禁していくべき」(平氏)

「過激な発言」の候補者が人気に? 政治の“極端化”どう防ぐ

 ネット選挙活動の解禁に当たっては、候補者が極端な発言などをしてネットユーザーの“人気取り”をしようとする、ある種の「ポピュリズム」が加速するのでは――という懸念もある。だが首都大学東京の宮台真司教授は、ネット選挙時代においても政治の極端化は避けられると主張する。

photo 宮台教授

 宮台教授によると、政治が極端化するには(1)人々の承認を求めてポジショントークをする人物(候補者)がいること、(2)不完全な情報がある――という2つの条件が必要という。つまり、情報がはっきりしない中でポジショントークをする候補者が極端な発言をすると、人々にとってこの人物が「男気のある立派な人」のように見えてしまうというわけだ。

 宮台教授は「ポジショントークをする人がいるのは仕方ない」としつつ、情報を“完全化”することで政治の極端化は防げると話す。「きちんとした話し合いであらゆる熟議が行われ、完全情報化していくと、議論は必ずリベラル化して極端化を避けられる」「ネットでもニコニコ生放送やニコニコ動画を見ながら判断できるので、これは1つの追い風になるのでは」(宮台教授)

photo 鈴木客員教授

 「政治家側からの発信だけでなく、有権者が政治家に向けて情報を発信することもある」と、城西国際大学大学院の鈴木崇弘 客員教授は指摘する。「ネットだけで物事を考えるのでなく、有権者の政治教育や市民教育をはじめ、マスメディアがネットの中で政治家の悪いところを指摘するなど、いくつかのセグメントを組み合わせて考えることが重要だ」(鈴木客員教授)

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