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「ハッシュタグで地震情報共有」は再検討すべき?

» 2012年12月10日 18時32分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 先週はアクセス5位に、ヤマダ電機のTwitterアカウントに関する記事が入った。7日夕、三陸沖で起きた地震の直後、同アカウントが「これを機に日頃の備えなど検討してみては如何でしょうか」ツイートし、同社が運営するショッピングモールの防災グッズ関連ページへのリンクを紹介したところ、「不謹慎ではないか」という批判の声が一部にあり、ツイートがその後削除された――という内容だ。

 3.11以降、ネットサービス事業者やユーザーの地震への対応スピードは上がっている。Googleは7日の地震直後に「パーソンファインダー」の提供を開始。Twitterはブログを更新し、「#地震」「#津波」「#救助」「#避難」「#安否」というハッシュタグで情報共有するよう呼びかけた

 ただ今回、ハッシュタグによる情報共有はほとんど意味がなかったのではと思う。それぞれのハッシュタグは一般名詞で、指す情報の範囲が広すぎた。例えば「#地震」というハッシュタグには、海外で起きた地震の震度情報や、地震の際の心構え、防災グッズ情報、地震関連ニュース、さらに、地震とまったく関係ない商品PR情報(アクセス集めのために“人気ハッシュタグ”である「#地震」を付けたとみられる)などあらゆる情報が投稿されており、必要な情報が得られるようには思えない。

 加えて、ハッシュタグの利用を呼びかけるネットニュースをツイートする際、紹介がてらすべてのハッシュタグを書き込む人も続出。ハッシュタグでTwitter検索すると、ハッシュタグを使うよう呼びかける報道が大量に表示され、それ以外の情報が埋もれてしまう――という事態にもなっていた。

 また、今回の地震直後に、「家が崩れて閉じ込められた」という嘘のツイートが拡散するなど、Twitterの負の側面も改めて浮き彫りになった。

 一方で、被災地の役場や政府など公共機関がTwitterでいち早く避難情報を発信するなど、公的・正確な情報源からの情報発信も増えている。3.11当時には存在しなかったスマートフォンアプリ「LINE」で安否確認する人も多く、LINEの「トーク」の利用者は普段の2倍に急増したという。

 誰でも発信・受信できるソーシャルメディアは、ユーザー層の変化やツールの進化によって、得られる情報も使い方も変わってくる。3.11から1年半以上経った今、非常時にTwitterをどう使うのが効果的か、改めて考え直すタイミングかもしれない。

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