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スマホ購入時、Googleアカウントとパスワードを紙に書く──ドコモに聞いた、その理由

» 2013年03月22日 18時53分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 携帯電話販売店でスマートフォン購入時に、Googleアカウントとパスワードを書く紙を配られた――こんな報告がネットで相次いでいる。NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクモバイルの一部ショップで行われているようで、「情報管理は大丈夫なのか」「パスワードがもれないか不安」といった声も上がっている。

 3社に対し3月22日に問い合わせたところ、NTTドコモは3月11日から各販売店で、スマートフォン新規購入者などに対して、GoogleアカウントのIDなどを記入する用紙「Googleアカウント初期設定シート」の配布を始めたとの回答だった。「応対時間の短縮と、スマートフォン初心者への対応のため」(ドコモ広報部)で、記入された情報は販売店では保存せず、必ず持ち帰ってもらうなど、細心の注意を払って運用しているという。

 KDDIは「スマートフォンが不慣れな顧客のサポートとして、販売店が独自に行っているのだろう」と、キャリアとしての関わっているわけではないと説明。情報セキュリティについては「通常業務でも個人情報を扱っており、必要な範囲で対応しているだろう」としている。

 (※3月26日追記)ソフトバンクモバイル広報部は、「販売店が独自にやっていることで、弊社から指示を出しているものではない」と説明。「そういった店舗を見つけた場合は報告してほしい。アカウントやパスワードは顧客に入力してもらい、販売店はあくまでサポートのみ行うか、客から入力依頼があれば事前に同意いただいた上で、希望を聞くよう指導する」と話している。(※追記ここまで)

スマホ化で長引く応対時間短縮に パスワード管理の啓発も

画像 ドコモの「Googleアカウント初期設定シート」の例。販売店によっては、画像と異なるシートを配布している場合もある

 ドコモがスマートフォン購入者に配布している「Googleアカウント初期設定シート」には、Googleアカウント名やパスワード、「セキュリティ保護用の質問・答え」などを記入する欄がある。アカウントを持っている人は既存のアカウントを、持っていない人は希望するアカウントを記入する仕様だ。以前は販売店の個別の判断で、似た用紙を配布していたこともあったが、3月11日以降はドコモがキャリアとして同シートの運用を始めたという。

 シートの記入は強制ではなく任意。記入済みシートは顧客が持ち帰ることになっており、販売店では(1)絶対に保存しない、(2)バックヤードに持って行かない、(3)ほかの客の目に触れないようにする――など、情報がもれないよう細心の注意を払って運用しているという。

 Andoridスマートフォン購入時、販売店では顧客に対して、Googleアカウントの取得やログインといった作業を説明する必要があり、「フィーチャーフォンよりも1人当たりの応対時間が長くかかってしまう」(ドコモ広報部)という。待ち時間の間にシートを配り、アカウント情報を用意してもらうことで、体感での待ち時間や応対時間を短縮する狙いがあるという。

 また、初心者はそもそも、Android端末にはGoogleアカウントが必要で、IDとパスワードを保存・管理する必要があると知らないケースも多い。ID・パスワードを紙に書き残してもらうことで、それらを自ら管理する必要性を意識してもらう狙いもあるという。

 シートには「パスワードは他人に知られないように十分にご注意ください。第三者がそうした情報を盗み読み、お客様のアカウントに不正にアクセスする可能性があります」と赤文字で目立つように書かれており、販売店では「通帳と印鑑のように扱ってもらいたい」などと説明。説明書と一緒に、大切に保存してもらうよう話しているという。

初心者へのスマホ販売の難しさが浮き彫りに

 各キャリアともスマートフォンの拡販に力を入れているが、ほぼ販売店任せで初期設定ができたフィーチャーフォンと異なり、スマートフォンはユーザーが自ら行わなければならない設定が多く、販売店も対応に苦慮しているようだ。

 IDやパスワードを店頭で紙に書くという対応はセキュリティ面での不安は残るものの、急速に進むスマートフォンの普及で、ネットユーザーとしては当たり前のことであるIDとパスワードの管理に慣れていないユーザーがスマートフォンに接している現状もあり、“スマート”とは言いにくい方法に頼っているのが実情のようだ。

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