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人間VS.コンピュータ「将棋電王戦」、団体戦は来年がラスト 今後はタッグマッチ形式に

» 2014年08月29日 18時27分 公開
[山崎春奈,ITmedia]

 ドワンゴは8月30日、団体戦形式の「将棋電王戦」を来年を最後に終了すると発表した。現在の団体戦は来年を最後に終了し、2016年からは人間とソフトがペアを組んで戦うタッグマッチ形式による棋戦を新たに立ち上げる。

photo 「電王戦タッグマッチ2014」には加藤一二三九段も出場

 プロ棋士5人と将棋ソフト5つが争う形で過去2回団体戦を行っており、いずれもプロ棋士側が負け越している。日本将棋連盟の谷川浩司会長が「(将棋ソフトには)プロ棋士中位以上の実力があると認めざるを得ない」と発言するなど、ソフトの進化によって人間とコンピュータの実力が拮抗する中、今後の展開が注目されていた。

photo 日本将棋連盟 谷川浩司会長

 団体戦は来年3〜4月に行う「将棋電王戦 FINAL」をもって最後に。5人の出場棋士は10月12日に発表する。過去2回は幅広い年代から出場棋士を選んできたが、これまでの戦績を考慮し、20〜30代前半のコンピュータとの対局に強いとされる若手世代から厳選し、「本気で勝ちを取りに行く最強の布陣」(谷川会長)で挑むという。羽生善治四冠をはじめタイトルホルダーの参戦を望む声も多いが「公式戦の日程などを考えても現実的にはかなり困難」(谷川会長)とした。

 谷川会長は「ファンのみなさんからの人気が高い一方、プロ棋士の負ける姿は見たくないという声もあった。おそらく今は人間とコンピュータの“対決”のイメージが強いが、“共存”関係に少しずつ変えていきたい」と話す。形式変更は、ドワンゴの川上会長からの提案だったという。

 代わって16年からは人間と将棋ソフトがペアを組んで対局する「電王戦タッグマッチ」を開催する。公式戦とはならないものの、名人戦や竜王戦に次ぐ規模の賞金を用意し、新たな棋戦として確立していく考えだ。

 これを記念したエキシビションとして、9月〜10月にかけて「電王戦タッグマッチ2014」を行う。過去の電王戦出場者や、加藤一二三九段、久保利明九段など計12人が出場し、将棋ソフトが示す指し手を参考に対局する。

photo ドワンゴ 川上量生会長

 川上会長は「電王戦の意義は人間とコンピュータどちらが優位なのか決めることではなく、将棋を通してそれぞれの得意な部分、補える部分をよりよく知ること。もう直接の対局はしないという宣言ではなく、今後も新たな方法で将棋の可能性を広げていきたい。ファンのみなさんが見たいだろうなという企画も含め、年末にかけてさらに発表が続くので楽しみにしてほしい」と結んだ。

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