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決済、タクシー、音楽──“リアル”へ急加速する「LINE」(1/3 ページ)

» 2014年10月09日 21時08分 公開
[岡田有花,ITmedia]
画像 5億6000万ユーザー達成を発表する森川社長

 決済サービス、タクシー配車、音楽──LINEは10月9日に発表した新サービスを通じ、ユーザーの“リアル”にさらに深く食い込もうとしている。

 同社の森川亮社長によると、LINEのユーザー数は8月10日に5億を突破し、現在までに5億6000万(アクティブユーザーは1億7000万)に達した。今年4月の4億突破からわずか4カ月で1億人上積み。一方日本のユーザーは5400万に達しているが、伸び率は鈍化しつつある。

 LINEは新サービスで、獲得したユーザーとの接点を広げ、日々の生活に深く入り込もうとしている。「テーマはLIFE」――森川社長はこんなキーワードを提示。メッセンジャー・通話アプリの枠を超え、ユーザーの毎日の生活に密着した“生活インフラ”の座を狙う。

決済から「リアル」に食い込む

 「LINEはデジタルに閉じた世界観だったが、そこから一歩進み、日常生活に溶け込むプラットフォームを目指す」と同社の出澤剛COOは宣言。決済システム「LINE Pay」と関連サービスを今冬、一気に投入する。

画像 LINE Pay

 LINE Payは、LINEの友人への送金やECサイトの支払いに使える決済システム。メッセージとともに送金できるなどSNSならではの機能が売りだ。当初はオンライン決済のみだが、今後、リアル店舗での決済にも対応し、海外の友人にも送金可能にするなど、世界のユーザーの生活に食い込むサービスに進化させていく。

 クレジットカードと連携させるか、プリペイドカード・銀行口座からチャージ可能。当初から三井住友銀行・みずほ銀行と連携し、両銀行の口座からチャージできるようにした。サービスの手数料は「おそらく業界最安値」(出澤COO)。大きなユーザーベースと低い手数料を武器に、乱立する決済サービス市場に殴り込む。

 LINEアカウント“乗っ取り”による詐欺被害が多数報告される中、決済サービスのセキュリティを懸念する声もある。LINE PayではLINEとは異なるパスワードを設定し、設定した自分のスマホ以外では利用できないようにするなどして不正利用を防ぐとしている。

タクシー配車やデリバリー 「あらゆるものを配達可能に」

画像 LINE TAXI

 LINE Payと連携した“リアル”のサービスとして、LINEからタクシーを呼べる「LINE TAXI」を日本交通と協力してスタート。デリバリーサービス「LINE WOW」も、韓国でフードデリバリーアプリを展開するWoowa Brothersと連携して提供する。

 LINE WOWは当初、高級店のランチを渋谷地域限定で配達するのみだが、将来は「配達の仕組みを自社ですべて持ち、あらゆるものを配達可能にしたい」(出澤COO)と鼻息は荒い。

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 さらに、Android用の屋内地図アプリ「LINE Maps for Indoor」も秋ごろに公開。渋谷ヒカリエや東京ミッドタウンなど人気の施設と連携し、約40施設の屋内・店舗情報を表示できる。英語や中国語に対応し、日本のユーザーだけでなく海外からの旅行客にも売り込んでいく。

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