書き手の断片的な思考をつなぎ、1つのあらすじを作る──小説執筆を支援するというソフト「ものがたりソフト」を、芝浦工業大学の米村俊一教授と、同大出身で作家の中村航さんが共同開発した。書き手の頭の中の断片的な思考をつなげてあらすじを作るというもので、中村さんは実際に同ソフトで作ったプロットを基にした合作小説を11月1日に発売する。
認知心理学で用いられる「プロトコル解析法」という手法を活用。中村さんの発話内容を書き出し、思考の規則性を整理することで、小説家の思考をシステム化した。
具体的には、画面に出る質問項目に沿って答えを入力することで、小説を全く書いたことがない人でも話のあらすじを作ることができるという。「ヘルプ」ボタンを押すと、ソフト内にデータベース化されている文言がランダムで現れ、書き手の発想を広げてくれる。
中村さんは、ソフト開発にも参加した作家の中田永一さんとの合作で、同ソフトで作ったプロットをもとにした小説「僕は小説が書けない」(KADOKAWA)を執筆。「400字詰め原稿用紙5〜10枚ずつ書いて相手にバトンを渡すという方法で完成した」(中田さん)という。
中村さんは同大出身で、エンジニアを経て2002年の「リレキショ」で文藝賞を受賞してデビュー。12年、「小説を書きたいと思っている人を情報工学の力でサポートしたい」と同大と中村さんの共同研究がスタートした。
ソフトは改良中で、公開予定は未定という。今後はネットと連携するなどして小説本体の執筆もサポートできるソフトを目指すという。時代を指定すると関連するワードや出来事を検索してリスト化するなど、執筆の際に時間がかかる時代背景の調査などを支援する機能などを盛り込んでいくとしている。
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