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きたる4月4日、月が地球の影にすっぽり入る皆既月食

» 2015年04月03日 13時24分 公開
[日本気象協会 tenki.jp(http://www.tenki.jp/)]

 2014年は、スーパームーンや皆既月食など、月に関する話題がいつになく多い年でした。ひときわ大きな満月が見られたスーパームーンや、赤銅色の満月に変わる皆既月食の神秘的な姿に、魅せられた人も多かったのではないでしょうか。

 今年の皆既月食は4月4日(土)。午後7時15分ごろから部分食が始まり、皆既食は午後8時54分〜午後9時6分ごろまでとされています。

 皆既月食に続き、9月28日(月)にはスーパームーンも。潮の満ち引きや、人の体にも影響をもたらす月について、この機会に知っておきませんか。

月は地球から少しずつ遠ざかっている

 夜空を見上げてみてください。白く美しく光る月は、地球から約38万キロ離れたところにあり、その大きさは地球の約4分の1といわれています。

 月や地球が誕生した46億年前は、月と地球の距離は約1万9000〜2万4000キロ程度でした。月は地球から少しずつ遠ざかっているのですが、46億年の当時は、地球から月はものすごく大きく見えたことでしょう。ちなみに、現在は約29.5日で地球の周りを一周していますが、当時は10時間くらいで地球を一周していたようです。

なぜ、「満月」「新月」になるの?

 満月と新月は、惑星の順序が異なることをご存じでしたか。つまり、満月は「月・地球・太陽」の並び順のとき。そして、新月は「太陽・月・地球」の並び順のとき……というわけ。

 地球から見ると月のカタチが変化する三日月や半月などの月の満ち欠けは、太陽の光の反射によるもので、月全体が地球の影にすっぽり入ると皆既月食になります。

 また、月の軌道は楕円を描いているため、地球に近づいたり、遠ざかったりします。その軌道の途中で、月と地球の距離が最も近く、いつもより満月が大きく見えるときが「スーパームーン」となります。昨年はスーパームーンが3度も見られるラッキーな年でした。今年は9月28日に観測できるので、ぜひ、まん丸の巨大な満月を楽しんでみてください。

満月の引力は、人を惑わす?

photo 昨年10月8日、北海道千歳市で撮影された皆既月食

 古来より、人が月に魅せられ続けてきた理由は、ひょっとしたら月の引力と大きな関係があるのかもしれません。満潮、干潮などの潮の満ちひきは、月の引力によって起こりますが、海水が月の引力に引っ張られて少し持ち上がった状態が「満潮」となります。

 太陽にも引力はありますが、月に比べたら弱いもの。それでも、月・地球・太陽の並びになる満月のときは、太陽と月がお互いに引っ張り合うため、海面の高低差が最も大きな「大潮」になります。

 この引力のチカラは、人間のカラダにも影響を及ぼすといわれます。たとえば、もっとも月の引力が強まる満月の夜になると、出産率が上がると言います。医学的な根拠はないものの、産院の中には「月カレンダー」を貼っているところもあり、あながち迷信とはいえなそうです。そういえば、オオカミ男が現れるのも満月。引力のチカラは、人間や動物のホルモンバランスに、何らかの影響をもたらすのかもしれません。

月を知ることは地球を知ること

 月の幻想的な美しさは、いろいろな物語を想像させますが、解明されていないことはたくさんあります。

 月の起源や進化を解明するため、2007年9月14日、日本初の大型月探査機「かぐや」が打ち上げられました。アポロ計画以来のこの本格的な月探査計画は、日本のみならず世界各国からも注目されました。

 では、月を知ることがなぜ、重要なのでしょうか。

 月は地球と同じ頃にできたといわれています。この2つの天体は誕生した当初、高温のマグマで覆われていました。地球は火山活動が活発で、地下のマントルがたえず対流しているので、地球が生まれた頃の姿は残っていません。しかし、月は地球より早くマグマが冷えたため、誕生した当時の姿が残っていると考えられています。要するに、月を知ることは、地球の成り立ちを知ることにもなるのです。

 今日からいよいよ4月。新たな出会いが多い時期ですが、そのぶん緊張する場面も多く、精神的に疲れる時期でもあります。自宅へ向かう夜道で「疲れたな」と感じたら、少し立ち止まって夜空を仰いでみませんか。

 満月には別名「望月」の呼び名もありますが、その漢字だけを見ると、まるで「希望の月」のよう! ぜひ4月4日の夜は、満月からエネルギーをもらい、英気を養ってくださいね。

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