欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は4月15日(現地時間)、米Googleの検索サービスについて、EU競争法(独占禁止法)に違反した疑いがあるとして同社に異議告知書(Statement of Objections)を送ったと発表した。
それとは別に、Androidに関しても独禁法違反容疑での正式調査を開始したことも発表した。
異議告知書とは、独禁法違反の疑いがある行為に対して欧州委員会が送る、暫定的見解を記載した文書。最終判断のためのものであり、例えば提訴などの決定に直結するものではなく、受領した企業は意見を述べることができる。
欧州委員会は2010年からGoogleのオンライン検索と広告に関して、独占禁止法に基づく正式調査を実施し、2014年2月にはGoogleからの問題解決措置の確約を受けて調査を終了するはずだったが、競合企業からの反対により、調査は現在も続いている。
異議告知書は、Googleが欧州における検索市場での独占的地位(欧州では9割)を乱用し、検索結果を自社に有利になるよう操作した疑い(詳細はこちらの記事)に関するもの。
Googleはこれに対して公式ブログで、ドイツにおける旅行検索と独、仏、英におけるショッピング検索の具体例をグラフを示して説明し、「Googleは最も使われている検索エンジンではあるだろうが、人々は(Google以外の)多様な方法で情報を探し、入手できる。従って、消費者および競合に対して損失を与えているという申し立ては見当違いだ」と公平性を訴えた。
EUが提訴してGoogleが敗訴すると、Googleには直近の年間売上高の10%に相当する罰金が科されることになる。2014年のGoogleの総売上高は660億100万ドルなので、約66億ドル(約7900億円)ということになる。
Androidに関する正式調査は、AndroidはオープンソースのOSであるにもかかわらず、多くのスマートフォンおよびタブレットのメーカーがAndroidとGoogle製の多数のアプリとサービスをプリインストールしていることについてのもの。こうしたGoogleのアプリやサービスをプリインストールするために、メーカーはGoogleと一定の契約を締結する必要がある。
調査のポイントは以下の3つ。
これに対してGoogleは公式ブログで、Facebook、Amazon、Microsoft Officeなど、Googleのアプリと直接競合するアプリも公式アプリストアのGoogle Playで提供しているだけでなく、こうした競合アプリがプリインストールされているAndroid端末も多数あると主張。
また、Googleが端末メーカーと交わしている合意書(非公開)の目的は、ユーザーが端末を箱から出した瞬間から端末を便利に使えるようにすることが目的(「マップやメールアプリなしで生活できる人などいるだろうか?」と書いている)だとしている。AppleがiOS端末にプリインストールしているApple純正アプリの数に比べれば、Android端末にプリインストールされているGoogle純正アプリの数などはるかに少ない、とも。
Googleは、欧州委員会とこうした問題についてより詳細に話し合うことを楽しみにしている、としている。
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