KDDIは5月14日、全国のauショップで、タブレットを使って食品や生活用品の通信販売を行う物販サービス「au WALLET Market」を2015年夏にスタートすると発表した。まず「au SHINJUKU」(東京・新宿)など4店舗で始め、順次拡大する。キャリアショップを使った本格的な物販サービスは国内初としている。
大手3キャリア間で端末や料金が同質化し、MVNOとの競争も激化する中、リアル店舗を使った物販サービスで差別化を図る。ショップを“ケータイ以外も買える”場にして顧客の来店動機を増やし、新端末や新サービスの販促にもつなげる考えだ。
全国2500店舗・月間約1000万人が来店するauショップに、専用のタブレットを配置。来店客の隣にスタッフが座り、タブレットの操作法や商品の特徴などを説明しながら購入をサポートする。販売するのは、品質の高いお米や天然水、無農薬野菜など「ちょっと良い」食品や生活雑貨。定期購入商品の販売にも力を入れる。
「天気予報が雨だと光って知らせる傘立て」「水が足りなくなると、水を催促する花瓶」など、通信と連携した生活家電も販売していくと、同社の村元伸弥コンシューマビジネス開発部長は話す。
「虚構新聞」のネタ記事を受けて同社が実際に試作した、スマートフォンで炊飯予約できる次世代炊飯器「INFOJAR」も販売したいという村元氏だが「INFOJARの開発はまだ社長からゴーサインが出ていない」そうだ。田中社長いわく「これ(INFOJAR)はねぇ、危ない。在庫がたまる」。
主なターゲットは、ネット通販に慣れていないユーザー。「モバイルサービスと一緒にリアルサービスを展開し、auショップを“地域のショップ”にしたい。“生活革命”を実現したい」。
同名のECサイトもリリース。商品ラインアップはショップのものと異なるが、自宅のPCやスマートフォンで購入できるようにする。ECサイトでは傘下のルクサと連携し、体験型商品も提供。ECサイトは「au WALLET」で購入すれば最大3倍のポイントがたまり、ポイントで支払うこともできる。
スマートフォンの操作法や料金体系が複雑なこともあり、auショップの接客時間や待ち時間は伸びている。物販を開始する背景には「苦痛な待ち時間を有効に使えないか」という思いもあると、田中社長は説明する。
「携帯キャリア間の同質化が予想より早めに進んでいる」という危機感もあるという。端末や料金プラン、通信速度などは、大手3キャリアでほぼ横並び。スマートフォン需要の伸びが鈍化する一方で、SIMロック解除義務化やMVNOの攻勢で端末・料金競争が激しくなる中、個性的なサービスで独自の付加価値を打ち出す狙いだ。
NTTドコモが新たなポイントサービス「dポイント」を発表するなど、auが「au WALLET」で先行していたポイント事業に、他社も追随している。
田中社長によると、ドコモのサービスとau WALLETとの違いは「(ローソンなど)特定企業との提携するのではなく、MasterCard対応店舗ならオープンにどこでも使える」ところ。「au WALLETを始めたころは、なぜ通信事業者がこんなことするのと疑問の声もあったが、他社が追いかけているのを見ると、戦略は正しかったと思う。グローバルでもこういった動きが出始めており、先行者として頑張りたい」。
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