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川の水に溶けたDNAで絶滅危惧種「ニホンザリガニ」の生息を確認 北大など手法開発

» 2016年06月20日 17時28分 公開
[ITmedia]

 絶滅危惧種のニホンザリガニがいるかどうかを川の水に溶け出したDNAを調べることで判定する手法を、北海道大学と兵庫県立大学の研究チームが開発した。今後、他の水中に生息する絶滅危惧種や外来種に対しても、生息の有無を簡易に判定できる手法を確立できる可能性を示している。

photo 北海道大学のページより

 ニホンザリガニは、北海道や東北地方などに生息する絶滅危惧種のザリガニ。川の石の下などに隠れて暮らすため、石をどかしながら探す捕獲調査では、生息の有無を確認するのに数時間はかかっていたという。

 研究チームは、川の水を解析し、ザリガニのふんや表皮から溶け出た「環境DNA」が含まれるかどうかで生息地を判定する方法を考案した。2014〜15年に札幌近郊の川で、DNAの有無を解析し、捕獲調査も同時に行ったところ、実際にザリガニを捕まえた10カ所全てで、環境DNAを検出したという。

 水の採取は数分ででき、捕獲調査と比べると短時間で調べられる。今後は、他の絶滅危惧種や外来種のモニタリングへの応用が期待できるとしている。

 成果は、米科学誌「Conservation Genetics Resources」(電子版)に6月19日付で掲載された。

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