だが、このゲーム戦略は成功を収めることができなかった。CEOが創業者・井口尊仁氏から楽天出身の谷口昌仁氏にスイッチしたのが2011年12月。その後、tabというキュレーションサービスを開始した。2014年には社名を頓智ドットからtabに変更。このサービスは継続中だが、2014年1月にセカイカメラを終了。後にtabは2015年設立のオープン・ランウェイズというところに吸収されている。CEOは頓智ドットの谷口氏のまま。
現在はtabよりも、tabモールという「店頭にない商品を、ウェブサイトを通じて百貨店などの店舗にお取り寄せし、実物を確認、試着してから購入できるサービス」がメインのようだ。
もはや「セカイカメラ? なんですかそれ」といった感じだ。
一方、当時セカイカメラとARアプリ分野で競っていた製品はいまどうなっているのか。
セカイカメラに少し遅れてARタグを実装していたライバルのLayarも、既にない。イギリスで同種の製品・サービスを提供しているBlipparに吸収され、日本でLayarを扱っていたシステム・ケイもLayar終了の案内を出している。
Layarを吸収したBlipparはどちらかというと、Google Goggleのような、カメラで撮影した物体を認識して、そこを起点とした情報を提供するアプリ・サービスだ。Layarがマーカー必須だったのに対し、Blipparはマーカーレスで企業ロゴなどを認識してコンテンツ提供をしているのが特徴。
しかし、ユーザーが自分の好きなものを投稿できるARプラットフォームは、見当たらなくなってしまった。2009年あたりには、セカイカメラやLayarだけでなく、memory treeというアプリもあった。
memory treeにAR機能はなかったけど、時間と場所にひもづいた写真を投稿でき、その場所でiPhoneを振り下ろすと、そこで投稿された写真をかき集めて表示できるというもの。アート的な試みが評判だったが、生き残ることはできなかった。
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