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ネットにつながる「IoTイノシシ罠」も 格安SIMでアイデア実現、盛り上がる開発者たち(1/3 ページ)

» 2016年09月01日 08時00分 公開
[本宮学ITmedia]

 イノシシが罠にかかるとスマートフォンに通知してくれる――。

 これはどこかの狩猟具メーカーが発売した新製品ではない。福岡県に住む個人・moyaidcfさんが、超小型コンピュータのRaspberry Piと格安SIM、クラウドを使って自分で開発した、自分のためのIoT(Internet of Things)ハードウェアだ。

photophoto イノシシ罠の監視装置を自作(画像提供:moyaidcfさん)
photo 「ワナが作動しました」とメールに通知

 技術情報投稿サイトやブログを覗くと、そんな“草の根IoT開発者”が何人も見つかる。簡易地震計を自作した人、家庭の分電盤にセンサーを取り付けて消費電力をグラフ化した人。さらに、トイレの空き状況を可視化するデバイスを作った人や、スマートフォンで制御できる「IoTクリスマスツリー」を開発した人……。

 彼らに共通するのが、1日当たり10円程度からの格安SIMカードを使っていることだ。「モバイル通信サービスは便利だが、これまではコストや手間のかかる『ヒト向け』のものしかなかった。IoT時代に合わせて、もっとカジュアルなモバイル通信を提供したかった」と、格安SIMサービス「SORACOM Air」を提供しているソラコムの玉川憲社長は話す。

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1日10円から ネットで簡単にSIMカード発行

 SORACOM Airは、1日最低10円から使える独自のSIMカードをユーザー自身で発行できるサービス。2015年9月末にリリースし、16年7月時点で3000以上のユーザー(法人/個人含む)に使われているという。

 SORACOM Airの特徴は、とにかくIoT機器向けにこだわった「安さ」と「簡単さ」。Webサイト上の手続きだけで、LTE/3G回線に対応するデータ通信SIM「Air SIM」をいくらでも発行できる。料金は初期費用が1回線(SIMカード)当たり954円(税・送料別)、基本利用料は1日10円からで、あとは使った分だけの従量課金制だ。

photo 主な利用シーンと料金イメージ

 さらに、ダウンロードよりもアップロード料金を安価に設定し、センサーデバイスなどの小容量通信を用いたサービスで使いやすくしているという。小容量通信を安価に行える格安SIMとしては「0 SIM」(500MBのデータ通信まで無料)もあるが、0 SIMは契約者1人につき1回線までなのに対し、SORACOM Airは無制限だ。

個人だけでなく法人も 活用サービスが続々

 そんなSORACOM Airの特徴を活用し、法人/個人を問わずユニークなIoTサービスが続々と登場している。

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