日本のライブチケットの席ごとの価格差が小さいのは、日本音楽著作権協会(JASRAC)の著作権使用料が影響しているとの指摘もある。
JASRACは、ライブの著作権使用料を「平均チケット価格」×「会場の定員」に基づいて算出している。例えば、10万円の席がごく一部あり、残りは1万円のライブだと、平均チケット価格が「5万5000円」になり、著作権使用料が極端に高額になってしまう。「音楽業界は、この計算方法が時代に合わないから変えてくれとJASRACに要望したほうがいいんじゃないか」(津田さん)。
ネットダフ屋対策として、海外には先進的な例がある。マドンナも契約する世界最大のイベントプロモーション会社・米Live Nation傘下のチケットオンライン販売企業、Ticketmasterの取り組みだ。
Ticketmasterは、人気公演のチケットの「公式オークション販売」を実施。オークションで価格が跳ね上がっても、価格に応じた手数料をアーティストや興行主が受け取れるという「プラグマティック(実利的)でいいやり方だ」(津田さん)。
さらに、チケット購入者が自由に値段をつけて再販売できるリセール機能も実装。主催者が再販売に同意したチケットについては、購入するとすぐ「売る」ボタンが表示され、購入者が価格を決めて売り出せる。「オンラインのダフ屋に荒らされるぐらいなら、公式に“ダフ機能”を提供し、差額の一部を主催者に還元できる」(福井さん)仕組みだ。
日本では、行けなくなった公演のチケットを定価で再販できる機能を「チケットぴあ」などが一部で提供しているが、広く普及はしていない。「不要になったチケットを、少なくとも定価以下でなら楽に再販できる仕組みは整備すべきだろう」(福井さん)。
ダフ屋による転売目的のライブチケット買い占め対策として最も有効なのは「厳正な本人確認」だと津田さんは指摘する。会場でしっかりと本人確認し、チケットを購入した本人しか会場に入れない仕組みにすれば、転売は難しくなる。
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