「映画のように、秋葉原に現れたモンスターを一緒に倒したくはありませんか? ようこそMixed Realityの世界へ」──日本マイクロソフトの千葉慎二さん(デベロッパー エバンジェリズム統括本部テクニカルエバンジェリスト)は、いま最も“拡張された世界”に関心があるだろうアニメファンたちにこう語る。
日本マイクロソフトは3月4〜5日の2日間、政府がアニメ「ソードアート・オンライン」(SAO)とコラボレーションして実施したセキュリティ啓発イベント「サイバー攻撃を目撃せよ!2017」(東京・秋葉原)で、現実世界に3D映像を重ねて表示できるMR HMD(複合現実ヘッドマウントディスプレイ)「HoloLens」を国内で初めて一般向けに公開した。
事前募集した参加者向けに体験イベントも実施。一般家庭の部屋を模したブース内で、実際にHoloLensを装着して試すことができた。デモを体験した参加者は「何これすごいすごい!」「こんなことがもうできるんだ……」(20代女性)と興奮した声を上げていたのが印象的だった。
HoloLensは米Microsoftが2015年1月に発表し、今年1月には日本でも発売。価格は33万3800円(税込)から。
サイバー攻撃を目撃せよ!2017は、内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)などが展開しているキャンペーン「サイバーセキュリティ月間」(2月1日〜3月18日)の一環として開催。このキャンペーンでは、近年注目を集めているVR(仮想現実)やAR(拡張現実)技術にも注目し、それらが題材のアニメ映画「劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-」とコラボレーションしている。
会場にいた日本マイクロソフトの片山建さん(政策渉外・法務本部 政策企画本部次長)によれば、今回の出展はNISCから依頼されたものだという。「映画の中に登場する“未来の世界”を実現するには、セキュリティへの注力が必要という趣旨に賛同した。劇中に登場するデバイスがHoloLensのイメージに近いなど、いろいろかみ合うところが多い」(片山さん)。
同作品は、ARウェアラブル端末「オーグマー」が普及した2026年の世界を舞台に、主人公のキリトたちがARゲーム「オーディナル・スケール」に挑むというストーリー。HoloLensやGoogle Glassのような実在するデバイスが進化したらこうなるのでは──そんな未来を連想させるシーンが至る所にちりばめられ、若者やアニメファンのみならず、技術者やギーク層の注目も集めている。
日本マイクロソフトにとって今回のイベントは、HoloLensやそれを取り巻くプラットフォーム「Windows Mixed Reality」の認知を上げるまたとないチャンスと言えそうだが、出展目的はあくまでサイバーセキュリティの重要性を啓蒙することだという。同社はこれまでも、政府が実施する「サイバーセキュリティ月間」に賛同したり、警察などと連携するサイバー犯罪対策部門を社内に構築したりしてきた。
「われわれも政府と一緒に啓発活動を行っており、“サイバーセキュリティは全員参加”というテーマを訴えるのが出展の狙い。これは未来への投資でもある」(片山さん)
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