「ウェアラブルは、ハンズフリーでコミュニケーションできるテレパシーのようなもの」──1月18〜21日に東京ビッグサイトで開催中の「ウェアラブルEXPO」で、「Google Glass」(グーグルグラス)の開発に携わったサド・ スターナー教授(米ジョージア工科大学)が未来のウェアラブルデバイスについて語った。将来は、発声せずに操作や文字入力ができるかもしれない。
2011年に米Googleが発表したGoogle Glass(以下、Glass)は、スタンドアロンで動作するメガネ型のウェアラブルデバイス。装着したユーザーの視界上にさまざまな情報を表示し、タッチや音声入力によって操作できる。
ウェアラブルデバイスの可能性を世に大きく示し、ガジェットを愛する者を興奮させた画期的な製品だった。しかし、2014年に米国などで先行発売された開発者モデルは、内蔵カメラによるプライバシー問題によって、多くの公共施設で使用禁止になるなど、社会的な逆風が強まっていった。ついには個人向けの発売がお蔵入りとなり、現在はビジネス用途特化にかじを切って再出発している状況だ。
スターナー教授は、20年以上ウェアラブルデバイスの研究を進めていた人物だ。2010年にGlass開発へ合流し、重さが4キロあったGlassのプロトタイプを、45グラム未満まで軽量化させることに成功した。同教授は、Glassの登場がウェアラブルに大きなインパクトを与えたのは間違いないと話す。
「Glassのプロトタイプが出回ったときは、われわれが予想しなかった使い方を多くの開発者が生み出してくれた」(スターナー教授)
会場で紹介されたのは、消防士がGlassの活用を目指した例だ。消防士が着用したGlassでは、火災が発生した建物のフロアマップや事故車両の切断ポイント、消火栓の位置を音声入力で呼び出せる。同じようなことはスマートフォンでもできるが、使い勝手に天と地ほどの差があるのは明らかだ。
スターナー教授は、一般発売こそかなわなかったGlassのコンセプトが失敗ではなかったとアピールする。さらに、Glassが登場した5年前と現在では大きくテクノロジーの変化があったと話す。
「当時はLTEが普及する前段階で、3Gのレイテンシ(通信遅延)が大きく、クラウドを利用した音声認識はイライラするものだった。現在は通信環境も改善し、ジェスチャー入力や低消費電力なBluetooth(BLE)、効率的なバッテリーも利用できる」(スターナー教授)
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