ITmedia NEWS > STUDIO >
SFから現実へ 「働くAI」のいま

「研究室が沸き立った」――AIが作詞、アイドル新曲ができるまで 電通大教授に聞く(3/5 ページ)

» 2017年05月12日 10時00分 公開
[片渕陽平ITmedia]

 もう1つ、要となったのが(2)単語と色を関連付ける技術。例えば「桜」という単語からは「ピンク」――というように、人間が単語ごとに想起する色を作り出す。「人工知能」は「灰色」など、もともと決まった色がない言葉でもイメージできるという。

 なぜそんなことが可能なのか。この仕組みは、約1000語の色のイメージを、約100人の被験者にアンケートした結果を基にしている。例えば「バラ」から赤をイメージした人が20人いれば想起確率は20%、白をイメージした人が10人いれば想起確率は10%というように、1つの単語ごとに、全ての色の想起確率を算出している。

 しかし、これだと取得できるデータは約1000語と限界がある。そこで、例えば「桜」と「春」は同じ文章中に使われる傾向があるので、同じ「ピンク」を想起する確率が高い――というように、実験をしていない単語の色を類推できるようにした。そのために、AIには著作権フリーの文章を大量に読み込ませたという。

photo テキストを色に変換

 ここまで説明した(1)オノマトペ→質感・色、(2)単語→色の変換プロセスを、歌詞づくりでは“逆転”。月野もあさんらが描いた絵の色→オノマトペと単語を生成し、歌詞にすることにした。

 坂本教授は「歌詞を作るポイントは、音符に乗らなければならないこと」とも話す。今回作った「電☆アドベンチャー」は、仮面女子の「超☆アドベンチャー」が原曲。元の歌詞と文字数が同じになるように、生成した言葉をAIが自動的に当てはめたという。

 歌詞の当てはめは、AIがほぼ全自動で行ったという。「特許出願中のため、詳しい内容は明かせないが、人間が置き換えたり並べ換えたりしている部分はない。どうしてもNGになった部分だけは、AIが再び言葉を探索し当てはめている」(坂本教授)。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.