あの「週刊少年ジャンプ」が公式の漫画制作ツールを公開した。その名も「ジャンプPAINT by MediBang」。PC、スマートフォン、タブレットなどから、無料でオリジナル漫画を制作できる。
ジャンプPAINTでは、90種類以上のブラシ、800種類以上のトーンに加え、週刊少年ジャンプで実際に使っているようなフォントも無料で使用可能。記者のような初心者でも、「漫画らしい」ものを描くことができた。
しかし、今どき無料のペイントツールは珍しいものではない。「ちょっと絵を描きたい」という人向けのものから、プロの漫画家を目指す人が使う本格的なものまで、さまざまなツールであふれている。
そんな中、2018年に創刊50周年を迎える週刊少年ジャンプがこうしたツールを提供するのは初めての試み。他のツールといったい何が違うのか、どんなツールを目指したのか。週刊少年ジャンプ編集部の籾山悠太さんと、Web漫画誌「少年ジャンプ+」編集長の細野修平さんに話を聞いた。
細野さんと籾山さんによれば、ジャンプPAINTは「ただ漫画を作って保存できる」だけでなく、“その先”を見据えたもの。編集部と作家の出会いからプロデビューへの道までをサポートする機能や工夫が込められているという。
その1つが作品の投稿機能。ジャンプPAINTで描いた漫画は、アプリからそのまま集英社のWebサイト「少年ジャンプルーキー」や、ツール開発元のMediBangが提供するプラットフォームなどに投稿でき、「ジャンプ世界一マンガ賞」などのコンテストにも応募可能だ。
ジャンプPAINTやジャンプ世界一マンガ賞は、海外ユーザーも視野に入れ、多言語に対応。操作面だけでなく言語面でもハードルを下げ、投稿しやすくしたという。
こうした工夫の裏にあったのは小さな不安。細野さんは「他誌の編集と話していたとき、ジャンプが主催するコンテストの応募作には、デジタル作品が少ないと感じた」と振り返る。「デジタル作品の投稿先として、ジャンプは取りこぼしがあるのではないか」――そんな危機感を抱いていたという。
タブレットやPCで漫画を描き、Web上で公開するユーザーが増えている今、デジタル派へのアプローチは大きな課題。「Webにも才能ある人がたくさんいるので、もっとそうした人たちにもジャンプに来てほしい」(籾山さん)
ジャンプPAINTを通じて、「デジタル派ともっと出会いたい」。そこで、編集部が独自に作成した「あるモノ」を機能として取り入れることにしたという。
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