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» 2017年10月23日 15時20分 公開

AI活用で「退院早く」 患者の“不穏兆候”を見抜く技術、NECが開発

患者が院内を徘徊するなどの「不穏行動」の兆候を、AIを活用して察知する技術をNECが開発。治療の妨げとなる行動を防ぎ、入院期間の短縮につなげる。

[片渕陽平,ITmedia]

 NECは10月23日、人工知能(AI)技術を活用し、入院患者の退院を早める取り組みの成果を発表した。患者が体に取り付けられた管をいじったり、院内を徘徊したりといった「不穏行動」の兆候を、平均40分前に71%の精度で察知。治療の妨げになる不穏行動を防いで入院期間を短くし、スタッフの業務負荷を軽減する狙いだ。

photo 管をいじったり、徘徊したり、ベッドの柵を乗り越えたり――などの「不穏行動」を防ぐため、予兆を察知する

 医療法人社団「KNI」が協力し、約半年間の実証実験を行った。KNIが提供する電子カルテのデータをNECが分析したところ、入院患者の約34%が不穏行動を起こし、通常の患者よりも退院が19日遅れていることが分かった。

 NECは、患者が着用する時計型センサーから体温、心拍などのデータを収集。AIがデータを分析し、不穏行動を起こした患者に共通する“特徴”を抽出し、行動を未然に防ぐ取り組みをした。AIの機械学習には、不穏行動を起こした数十人のデータを活用した。その結果、不穏行動の予兆を平均40分前に71%の精度で検知することに成功したという。

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 また患者の入院時、処置後に「リハビリ病院」へと転院するか、自宅に戻るかなど退院先を予測する技術も開発した。実証実験では、入院翌日のカルテデータから84%の精度で退院先を予測できたという。

 事前に退院先の見当が付けば、在院日数を25.5日から11.2日ほどに短縮でき、早期の社会復帰や、新たな患者の受け入れが可能になるとしている。KNIの北原茂美理事長は「満床のために患者をお断りするケースがあるが、(新技術を使えば)患者の受け入れ数が約2倍になるなど大きな効果が望める」と説明する。

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 12月に開院する北原リハビリテーション病院新棟(東京都八王子市)では、今回の実証、AI技術を活用したさらなる取り組みを行う。

 NECの中俣力さん(執行役員常務)は「(新技術が)介護施設などほかのシチュエーションにも適用できるかは、丁寧に精査する必要がある」としながらも、数年内に実用化し横展開を図る考えを示した。

photo 左から、NEC データサイエンス研究所長の山田昭雄さん、医療法人社団KNIの北原茂実理事長、NEC 執行役員常務の中俣力さん

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