ITmedia NEWS > 企業・業界動向 >

「第2のWELQ」か上場再挑戦か――「ヘルスケア大学」運営会社1.1億円の黒字「NOKIZAL」決算ピックアップ

» 2017年11月10日 15時00分 公開
[NOKIZALITmedia]

 医療情報サイト「ヘルスケア大学」などを運営するリッチメディア(東京都新宿区)が11月9日、官報に掲載した決算公告(17年6月現在)によれば、当期純利益は1億1200万円(前年同期は2600万円)、累積の利益や損失の指標となる利益剰余金は1億6600万円(同5400万円)だった。

photo

 リッチメディアサイバーエージェント出身の坂本幸蔵氏が2010年に設立。医療情報サイト「ヘルスケア大学」「スキンケア大学」やヘアスナップSNS「HAIR」を運営している。15年8月に東証マザーズに上場予定だったが、上場4日前に「内部統制の有効性に関して確認すべき事項が発見された」との理由で上場延期を発表し、17年11月現在も上場には至っていない。

 IPO(新規株式公開)承認時の株主構成は、坂本氏、林順之亮氏(全研本社代表)、リンクアンドモチベーション、コンタクトセンター(光通信グループ)、アップヒルズ(同)など。リッチメディアは、10年に合併した平成健康物語(04年設立)を商号変更しているので、設立と決算期がずれている。

ここがポイント

 15年に上場を延期してから、再申請には至っていないリッチメディアですが、今回の決算では利益を大幅に伸ばしています。本来であれば、いよいよ仕切り直して再申請かというところなのですが、17年5月に「ヘルスケア大学」で監修医師の無断登録疑惑や内容に間違いのある記事の指摘があり、未確認の医師情報を一時非公開にすると発表しました。

photo ヘルスケア大学

 半年後の11月現在、Webサイトを確認すると5000人以上だった医師は1425人に、表示される記事本数も半数以下に減っているようです。同社は9月に「医療・健康情報の信頼性向上プロジェクト」に関する報告書を掲載。専門家の見解を明確にした新しい医療情報サイトをオープンするとしています。

 16年末には同じく医療情報を扱う「WELQ」に不適切な記事があると問題になり、キュレーションメディア全体の在り方を問うまでに拡大する騒ぎとなりましたが、その記憶が冷めないうちに起きた「ヘルスケア大学」の問題。リッチメディアも可能性の認識はしていたはずで、そもそもの事業の進め方、その後の対応も甘かったとしか言いようがありません。

 今回の決算は6月末時点のものなので、ヘルスケア大学の問題はさほど影響していなさそうですが、今後の決算や上場への再挑戦には大きく関わる問題になりそうです。

リッチメディアの過去業績、他の企業情報は「NOKIZAL」で確認できます

photo

《サービス紹介》

NOKIZAL」は就活生から社会人まで、無料・登録不要で使える日本最大級の企業情報活用アプリです。4万社以上の業績情報に加え、メールやカレンダー、各企業や関連情報サービスへの外部連携も充実しており、企業情報収集をサポートします。帝国データバンクが保有する100万社以上の企業調査情報も追加利用可能です。

《著者紹介》

平野健児。新卒でWeb広告営業を経験後、Webを中心とした新規事業の立ち上げ請負業務で独立。WebサイトM&Aの「SiteStock」や無料家計簿アプリ「ReceReco」他、多数の新規事業の立ち上げ、運営に携わる。現在は株式会社Plainworksを創業し「NOKIZAL」を運営中。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.