――そうなると、楽器の形も変わりますね
濱野さん:最初は据え置き型でしたね。初代は基盤むき出しで、2代目も実は中身は変わっていません。初代をただ箱に納めただけという(笑) ニコニコ超会議に出すことになったので、さすがに基盤むき出しでお客さんに何かあったら大変ですし、壊れても嫌だと思いまして。
今のようなショルダーキーボードに近い形になったのは4代目で、それが2013年の終わり頃。このあたりで歌詞の入力を諦め、「初めから入れておこう」と考えました。実は、ボーカロイドキーボードは自主開発で始めたもので、本業ではありません。普通の楽器も作りながらやっていたので、これだけで2年くらいかかってます。
――据え置き型からショルダーキーボード型になったのはなぜでしょう? ヤマハさんは電子ピアノなども出していますし、据え置きのままという発想もあったと思います
濱野さん:歌詞を先に入力することにしたタイミングで、コンセプトも考え直しました。カラオケでもバンドでも何でもいいのですが、本当に歌を歌う時って人前に立つじゃないですか。ステージの後ろや横の方にキーボードがあり、そこからボーカルが出るのって、何か違うなーと。
それで、据え置き型じゃなく「持って演奏できるもの」「体で歌を表現できる形」がいいと思ったんです。デザインもショルダーキーボードというよりはむしろサックスのような管楽器がベースです。やっぱり、声を出すものなので。
――「キーボード」ではなく「ボーカル」だから、それに合わせた形にしたわけですね。となると、バンドをやる時には……
濱野さん:こいつを持ってセンターに立って歌ってもらうことになります。
――なるほど。「先に済ませる」ことになった歌詞はアプリへ移動したわけですが、アプリでは何ができるのでしょうか
藤原さん:歌詞入力、VOCALOIDのパラメーター調整、ボーカロイドキーボードにはVOCALOID以外の音色も入っているのでその設定や、ボーカロイドキーボード全体の設定もできます。さまざまな機能をアプリが司っていて、楽器と連携する感じですね。
――VOCALOIDを複数入れた場合、アプリから切り替えられるのですか?
藤原さん:そうですね。最初から入っているのはうちの「VY1」だけで、あとは「初音ミク」「Megpoid」「IA」「結月ゆかり」の4人のシンガーから、1人無料でダウンロードできます。有料になりますが、他の子も追加できます。
――シンガーはなぜこの5人になったんでしょうか? リリースが出た後、ネットでは「MEIKOがいない!」「KAITOは!?」といった声もありました
藤原さん:いろいろ検討はしていました。このピンクの試作機を作った時は「1台に1人のライブラリ」と考えていたので、緑や黄色のキーボードもありました。でも、製品版として打ち出すにあたり、「いろいろな声を奏でられる」というコンセプトで、複数のライブラリを入れることにしました。そこで色も「誰の色にも染まらない」という意味で白にしたんです。
藤原さん:ボーカロイドキーボードのVOCALOIDエンジンは、キーボード用に開発した「リアルタイム性に特化したもの」です。各社たくさんのキャラクターがいますが、キーボードとの相性や人気などをふまえて5人に決めました。発売後の反響によっては、他のライブラリの追加も検討していきたいと思っています。
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