KDDIと小湊鐵道(千葉県市原市)は12月12日、車両カメラなどで路線バスの危険運転を予防する実証実験を実施したと発表した。ドライバーの疲労や健康上のトラブルによる事故を画像データを活用して防ぐ狙い。
運転席の前方に取り付けたカメラの画像データを活用しドライバーの表情、挙動などを検知。姿勢異常でわき見運転や居眠りを検知する他、口角情報を基に感情の変化も捉え、怒りや驚きなどストレス度合いもチェックするという。
これらの画像データを、デジタルタコグラフ(車両向け運行記録用計器の一種)で計測した車速や位置情報などの走行データと合わせ、専用サーバで集計・管理し、レポートを表示する。
実施期間は5月14日〜31日。小湊鐵道の路線バス1台を対象に、時速10キロ以上での顔の位置ずれ、下向き、表情変化などを計測した。結果、13日間で290件の異常を検知。KDDIは、「定量的にデータを分析することで、事故につながる可能性は固有の時間帯に発生するかもしれないことが分かった」とし、「これらを基にドライバーへのヒアリング、注意喚起を実施していく」としている。
国土交通省の調査では、近年バスの事故は増加傾向で社会問題となっている。小湊鐵道 バス部 小杉直次長は、「ドライバーの健康問題に起因する事故は、ハード面で改善できる」と話す。先述したKDDIの「危険運転予防システム」を活用し、事故を減らす狙いだ。
小杉次長は「これまでの取り組みと違うのは、事故の予防とドライバーの指導にも役立つ所」と話す。例えば「停留所のそばで顔のふらつきが頻発」「直進路で表情変化がある」などの傾向が見られたが、これらは特定の場所で飛び込みや割り込みが発生したことが原因という。
「停留所付近での飛び出し注意を徹底する、直進路では巻き込み防止運転を意識するなど、実態に基づいた指導ができる。これは単なる座学では難しい」(小杉次長)
KDDI ビジネスIoT企画部 原田圭悟部長は「これまではドライバーがメガネを掛けたり、胸元にセンサーを装着したりする必要があった。今回の危険運転予防システムでドライバーのストレスを軽減できる」とした。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR