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SNSで稼ぐ新時代の“マイクロインフルエンサー” 成功の条件は“日本が知らない”海外のIT(2/2 ページ)

» 2018年01月26日 09時00分 公開
[行武温ITmedia]
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 マイクロインフルエンサーをうまく活用しているブランドとして挙げられるのが、日本でも人気の時計ブランド「Daniel Wellington」(以下、DW)。そのキャンペーンに参加しているマイクロインフルエンサーの1人が、Instagramで1.2万人近くのフォロワーを持つCHERRIE

 彼女はプロフィールに記載の通り、Instagramで「Travel(旅行)x Lifestyle(ライフスタイル)」のコンセプトに沿う写真を投稿している。

 DWは通年で「#DWPickoftheDay(今日のDaniel Wellington)」というハッシュタグをつけたキャンペーンを実施している。DWファンの写真をリポスト(他人が投稿した写真を自分のアカウントで再度投稿すること)したり、マイクロインフルエンサーに独自のディスカウントコードを発行したりして販売促進を狙っている。

 CHERRIEが1月初旬に投稿した以下の写真を見てみると、1月18日時点でライク数は2717、コメント数347とそのエンゲージメント率(概算)は25%を超えている。


 一方、同キャンペーンに参加するインフルエンサー(マイクロインフルエンサーではない)が、米国のお騒がせセレブとしても有名であるキム・カーダシアン(Kim Kardashian)。

 彼女はInstagramで1億600万人ものフォロワーを誇るが、CHERRIEとほぼ同時期に投稿された写真のエンゲージメント率(概算)は3%にも満たない。


 これら2つの写真を単純比較すると、フォロワーの数はインフルエンサーであるキム・カーダシアンの方が1000倍以上であるにもかかわらず、エンゲージメント率ではマイクロインフルエンサーのCHERRIEが8倍以上の差をつけている。

 また、インフルエンサーのキム・カーダシアンは、化粧品やパーティー、家族、食など投稿内容のテーマが多岐にわたるが、CHERRIEの写真はほぼ全てが旅行に関するもの。

 CHERRIEは「旅行」というテーマと自身とを結び付け、さらにコメント欄でフォロワーと積極的に交流をすることで「旅行好きでオシャレな友人」というイメージを確立している。従来の「有名人」と異なり、ファンであるフォロワーが気軽にコメントできることもエンゲージメント率を高めている要因ではないかと考えられる。

どうすればマイクロインフルエンサーになれる?

 ニューヨークに拠点を置くソーシャルメディアマーケティング会社「Socialfly」の共同創業者ステファニー・カーティン(Stephanie Cartin)氏も、Forbesの取材に対してマイクロインフルエンサーになるには「テーマを絞る」ことが重要だと話す。

 「テーマを絞ることで、まずあなたが何者かということが分かりやすくなり、フォロワー数が増えるきっかけになる。そして、どんなイメージを体現しているか、どんな考えを持っているか、何が好きで何が嫌いかを表明することが大事。テーマが絞りきれていないとフォロワーがどうしてもつきにくくなる」

 さらに同じ取材のなかで、複数のマイクロインフルエンサーが自身の経験について語っている。

 子どもや家族の写真をInstagramに投稿しているニコール・ディジアコベ(Nicole Digiacobbe)は、「メッセージは全て読むし、コメントもできる限り全て返すようにしている。コメントの中に何か質問があればそれにも答えるようにしている。100万人を超えるようなインフルエンサーだとこうはいかない」とのこと。

 上記からも、マイクロインフルエンサーを目指すうえでは、テーマを絞ること、そしてエンゲージメント率を高めることが鍵だと分かる。

インスタ ニコール・ディジアコベのInstagramアカウント

 確かにテーマを明確に絞ったマイクロインフルエンサーたちの投稿を見ていると、「この人はこんな商品やブランドと相性が良さそうだ」というイメージが湧きやすい。だから企業も宣伝を依頼しやすいのだろう。

 2017年、ソニー生命保険が発表した中高生の意識調査の結果(将来の夢の第3位が「YouTuber」)が話題になったように、広義のインフルエンサーが「職業」として認識されつつある。

 彼らの影響力はただ単にビジネスというだけでなく、私たちの仕事観、そして生き方にもインフルエンス(影響)を与え始めている。

執筆:行武温

編集:岡徳之(Livit


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