新連載:ITの過去から紡ぐIoTセキュリティ
史上最悪規模のDDoS攻撃 「Mirai」まん延、なぜ?(1/4 ページ)
新たなテクノロジーが生まれると、それを取り巻くさまざまなサービスが生まれ、多くの価値をもたらしてくれます。ですが、そのメリットを享受できるのは大多数の善良なユーザーだけではありません。よからぬことをたくらむ犯罪者もまた、新たなテクノロジーを活用し、さまざまな手法で金銭やそれにつながる個人情報を盗み取ろうと試みます。
この20年あまりでインターネットと社会・経済のデジタル化は大幅に進展しましたが、それに伴ってサイバー犯罪が増加し、無視できない被害を及ぼしています。そして今、IoT(Internet of Things)についても同じことが起こりつつあるのです。
連載:ITの過去から紡ぐIoTセキュリティ
家電製品やクルマ、センサーを組み込んだ建物そのものなど、あらゆるモノがネットにつながり、互いにデータをやりとりするIoT時代が本格的に到来しようとしています。それ自体は歓迎すべきことですが、IoT機器やシステムにおける基本的なセキュリティ対策の不備が原因となって、思いもよらぬリスクが浮上しているのも事実です。
この連載ではインターネットの普及期から今までPCやITの世界で起こった、あるいは現在進行中のさまざまな事件から得られた教訓を、IoTの世界に生かすという観点で、対策のヒントを紹介していきたいと思います。
IoTをbot化し、史上最悪規模のDDoS攻撃を行った「Mirai」
IoTに対するリスクが現実化した例の1つが、2016年秋以降、複数のDDoS(分散型サービス妨害)攻撃に悪用された「Mirai」というマルウェアです。
Miraiは、インターネットにつながっている家庭用ルーターやネットワークカメラ、ストレージ製品、デジタルビデオレコーダーといった組み込み機器をターゲットにし、botをダウンロードさせ、攻撃者が操るC2サーバからの命令に従ってDDoS攻撃を実施します。また、次の「犠牲者」を求めてネットワークを探索し、telnetと呼ばれるサービス経由でアクセスできる端末を見つけるとログインを試み、感染を広げていきます。
16年10月にMiraiが行ったDDoS攻撃では、米国のセキュリティ情報サイトやDNSサービスを提供する企業が停止し、連鎖的にTwitterやSpotifyといったサービスも利用できなくなりました。過去に例を見ない100Gbps超のDDoS攻撃が複数回行われ最大で623Gbpsという史上最悪の規模に達したといいます。一企業の努力だけではとても太刀打ちできないスケールです。
このDDoS攻撃は、十万台規模の感染機器に一斉に通信を行わせて実現されました。過去にも、マルウェアが数万台、数十万台規模のPCに感染し、それらを操ってDDoS攻撃を仕掛ける事例はありましたが、Miraiの登場によって、同じことがIoT機器でも繰り返されています。PCをターゲットにしたbotへの対策が広がり、捜査当局やセキュリティ企業を巻き込んだテイクダウン作戦が実施された結果、比較的対策が「手薄」で、しかも数百億台規模で大量にインターネットに接続されているIoT機器に攻撃者の目が向いたと捉えることもできそうです。
Miraiが多数の組み込み機器、IoT機器に感染できた理由とは?
では、Miraiはどうやってこれほど多くのIoT機器に感染したのでしょうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
ITの過去から紡ぐIoTセキュリティ
家電製品やクルマ、センサーを組み込んだ建物そのものなど、あらゆるモノがネットにつながり、互いにデータをやりとりするIoT時代が本格的に到来しようとしています。それ自体は歓迎すべきことですが、IoT機器やシステムにおける基本的なセキュリティ対策の不備が原因となって、思いもよらぬリスクが浮上しているのも事実です。 この連載ではインターネットの普及期から今までPCやITの世界で起こった、あるいは現在進行中のさまざまな事件から得られた教訓を、IoTの世界に生かすという観点で、対策のヒントを紹介していきたいと思います。
この記事の著者
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
「年齢は合ってますが、人間ではありません」 6歳の飼い猫に届いた“進研ゼミの案内” なぜ届いたのかベネッセに聞いた
-
2
Google、プライバシーポリシーに「Gmail」「Googleフォト」のデータを広告に使う例外を追加 回避方法は
-
3
GMO熊谷代表「社内ホワイトハッカーが事前に指摘」も対策遅れ、国に「能動的サイバー防御」要請 「責任転嫁では」SNSで批判も
-
4
「5年でバッテリーが使い物にならなくなる」は本当か テスラ「モデル3」5年目点検で分かったこと
-
5
ジョーシンへの不正アクセス、最大623万件漏えいか 運転免許証2件・マイナカード1件なども
-
6
グッスマに不正アクセス、公式EC閉鎖 会員の住所や注文履歴など漏えいか 再開目処立たず
-
7
野村総研、サイバー攻撃時の「能動的なシステム停止」を支援する新サービス
-
8
Xの「いいね」長押しで1ドル送金 マスク氏が“投げ銭”機能を予告
-
9
「能動的サイバー防御」きょう開始 警察・自衛隊などが攻撃元サーバを無害化 高市首相も狙いを説明
-
10
タイムズカー流出で顧客らが損害賠償求め運営会社提訴へ サイト開設の弁護士が記者会見
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR