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「世界最速処理性能」 MUFGとAkamaiが新型ブロックチェーンを開発

» 2018年05月21日 20時04分 公開
[井上輝一ITmedia]

 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)とコンテンツデリバリーサービスなどを手掛ける米Akamaiは5月21日、決済処理速度2秒以下で、世界最速の取引処理性能となる毎秒100万件の取引を可能にするという新型ブロックチェーンを開発したと発表した。ブロックチェーンのメリットを犠牲にせず、取引の高速化と大容量化を実現したとしており、19年度以降に新型ブロックチェーン技術を組み入れた決済インフラのサービス提供を目指す考え。

 「分散型取引台帳」とも呼ばれるブロックチェーンは、参加者(ノード)それぞれが同じ台帳を持つ非中央集権型の技術。送金履歴を記録した「ブロック」を相互に承認し、鎖のようにつなげていくのが特徴だ。過去の全取引履歴が記録されたひとつなぎの台帳を多数の参加者間で共有するため、取引履歴の改ざんが難しいとされている。

 ブロックチェーンの取引速度や処理容量は、ノード間の合意形成の速度に依存する。そのため、従来のブロックチェーン高速化の取り組みではノード間の距離を短くして高速通信を行ったり、個々の取引を記録せず合算結果のみをブロックに記録したりしていた。

 しかしこれらの方法では、ノードが地理的に分散せずシステムの継続性が下がる、詳細な取引記録が失われる、といったデメリットがあった。

 MUFGとAkamaiが開発した新型ブロックチェーンでは、Akamaiが持つ130カ国3800カ所以上の拠点に配備されたサーバ群によって構成される配信基盤「Akamai Intelligent Platform」に全ノードを配置することでノード間の高速通信を実現。

 さらにノード内のブロック生成や検証処理を高速・大容量化するための独自プログラムの開発により、ブロックチェーンのメリットを保持した上で高速処理を可能にしたとうたう。

 毎秒100万件の取引速度までは実際のビジネスシーンを想定した環境下で検証したとしており、機能拡張により毎秒1000万件超の取引も期待できるという。

 新型ブロックチェーンを組み込む新たな決済インフラ(ペイメントネットワーク)では、高速処理性能を生かし、IoT時代の「時間単位課金」や「マイクロペイメント」などの新しい支払い手段や、「シェアリングエコノミー」といった多様な決済シーンをサポートするオープンなプラットフォームの提供を目指す。

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