また、効率的な配送を実現するため、アスクルでは物流センターの業務平準化にも取り組んでいる。LOHACOの注文はヤフーの「5のつく日キャンペーン」などが行われると通常の2.5倍にもなり、物流センターに負担がかかっていたからだ。
アスクルの西岡聖太氏(フューチャープラットフォームアーキテクチャ ECR本部 OPA推進マネージャー)は「キャンペーンは売り上げにも大きく貢献するが、対策しなければ出荷遅延などお客さまにも迷惑が掛かってしまう。キャンペーンを有効活用しつつ注文を平準化する必要があった」と話す。
そこで考えたのが「LOHACOで使えるポイントを配送日ごとに異なる数付与し、利用者に意識的に配送日をずらしてもらう」という方法だった。「出荷できる限界値と実際の注文の差はある程度予測できるので、差が大きいところにはポイントを多く、差が小さいところには少なく付与するようにした」(西岡氏)
まずは17年10月〜12月に試験的に手動でポイントを設定してみたところ、50ポイントと40ポイントの日があれば50ポイントの日に、10ポイントと9ポイントの日があれば10ポイントの日に注文が増加。一番多い日が50ポイントでも10ポイントでも利用者の増減にあまり変化はなく、「表示されている中で相対的にポイントが多い日」の注文が増える傾向があることも分かった。この傾向を踏まえて、12月以降は出荷状況に合わせて自動でポイントを付与する仕組みを導入し、順調に平準化が進んでいるという。
付与するポイントは、サービス提供側からすれば新しく発生するコストだが、物流センターに負担がかかることで発生していた残業などのコストの方が圧倒的に大きいため、それを解消できれば気にならないという。
また当初は「ポイントを得るために再配達になると分かっていてポイントが多い日を指定する人も出てくるのではないか」といった懸念もあったが、むしろHappy On Timeの利用者の再配達率はポイント付与を行ってから減少傾向にあるという。「ポイントを付与することで、お客さまが『この日に届く』と意識して注文してくれるように変わってきていると思う」(西岡氏)
小和田氏は「宅配クライシスといわれることもあるように、実際配送コストは高くなってきている」と話す。「送料を上げれば解決する問題もあるが、むやみやたらにお客さまに負担を求めるのではなく、自社の物流やテクノロジーを生かして配送問題を解決していきたい」(小和田氏)
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