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再配達率2%を実現 アスクルの「効率的な配送」の仕組みとは(1/2 ページ)

» 2018年08月03日 15時10分 公開
[村田朱梨ITmedia]

 近年話題を集める再配達問題。国土交通省によれば日本全国の再配達率は15%で、特に都市部では16.4%にもなるという(2018年6月25日の報道発表資料)。しかし都市部を中心に展開する配送サービスで、再配達率2%という驚異的な数字をたたき出しているものがある。それがアスクルの個人向け通販「LOHACO」の時間帯指定配送サービス「Happy On Time」だ。このサービスはどのようにして実現されているのか、アスクルに聞いてみた。

photo 「Happy On Time」

photo 小和田有花氏

 LOHACOはアスクルがヤフーと資本提携し、2012年に立ち上げた日用品通販サイトだ。主な利用者は育児や仕事で忙しい都市部の女性。16年からは、1時間単位でピンポイントに配送時間を指定できるHappy On Timeを東京23区と大阪市の一部地域で展開している。

 Happy On Timeでは時間指定以外にも、玄関先や車庫など利用者が指定した場所に荷物を「置き配」したり、配達30分前にメールで通知したり、事前に依頼があれば届ける直前に電話したりと、荷物を受け取りやすくするための工夫を取り入れている。こうした工夫ができるのは「物流センターの運営やラストワンマイルを100%子会社が担っているからこそ」と、アスクルの小和田有花氏(コーポレート本部 コーポレートコミュニケーション統括部長)は話す。

photo 「Happy On Time」の特徴

 しかし、単に子会社だからスムーズに配送できる――というわけではなく、その裏には配送を効率化するための仕組みが取り入れられている。

Happy On Timeを支える配送計画

 Happy On Timeは、地理情報サービスなどを手掛けるパスコの配車計画システム「LogiSTAR」で作成した配送計画に沿って荷物を届けている。配送計画ではどこから出発し、どこにどの順番で荷物を届けるかを設定しているため、初めてそのエリアを担当するドライバーでもスムーズに配送できるという。

photo 配送計画の仕組み(PASCOの導入事例より

 配送計画と実際の配送時間の誤差は、日立製作所のAI(人工知能)技術「H」を使って分析。AIが渋滞情報や気象情報、工事の有無など100以上の情報を学習し、誤差の原因を特定することで、配送計画の改善につなげているという。「ゆくゆくはLogiSTARにAIを取り入れて、常に学習させながら配送計画の精度を上げていきたい」(小和田氏)

photo 算出した配送ルートの例(ASKUL LOGISTのサイトより)
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