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» 2018年08月06日 20時08分 公開

増益のソフトバンク、孫社長は「ビジョン・ファンドの成果が現れ始めた」

ソフトバンクグループが8月6日に発表した2018年4〜6月の連結業績は、営業利益が7149億円(前年同期比49.2%増)だった。孫正義社長(兼会長)は「ビジョン・ファンドの影響が日に日に高まっている」と自信を見せる。

[片渕陽平,ITmedia]

 ソフトバンクグループが8月6日に発表した2018年4〜6月の連結業績は、営業利益が7149億円(前年同期比49.2%増)だった。「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」(いわゆる10兆円ファンド)の評価益などが2399億円を占め、全体の増益をけん引した。孫正義社長(兼会長)は「ビジョン・ファンドの影響が日に日に高まっている」と自信を見せる。

photo ソフトバンクグループの孫正義社長(兼会長)=決算説明会のライブ動画より
photo 英半導体企業ARM Holdingsの中国事業の非子会社化に伴う利益と、ソフトバンク・ビジョン・ファンドの評価益が貢献。孫社長は、前者を「一時的な利益」とし、後者は「今後も増えていく」と説明する

 孫社長は「単なる投資会社になった覚えはない」と強調する。同氏が見据えるのは、これから数十年以内、ほとんどの産業分野で人工知能(AI)が人間の能力を上回る——という世界だ。そこでビジョン・ファンドを通じ、各分野でAI関連サービスに注力するトップランナーともいうべき企業に投資し、ファミリーに迎え入れる“AI群戦略”を展開する

 「投資先を増やし、世界で最も多くのユニコーン企業(企業評価額が10億ドル超の非上場企業)をグループ化する。続々とファミリーに加わった企業が今後日本に上陸し、新しいビジネスモデル、テクノロジー、サービスを提供し、産業を変えていく」(孫社長)

 投資事例の1つとして、孫社長はOYO Indiaを挙げる。インド国内で“次世代型ホテル”を経営するベンチャー企業だ。地元ホテルをOYOブランドに取り込み、直近2年間(16年6月〜18年6月)で、取り扱う部屋数は1000から10万に拡大。同国内でトップに躍り出た。

 ポイントは、従来3〜4割だった部屋の稼働率を7〜8割まで高めたことだという。その背景にあるのが、AIを活用した需要予測の仕組みと、需給に応じて価格を変動させるダイナミックプライシングだ。ホテル周辺のイベントや天気、曜日などを基に、1日当たり4300万回も価格を調整しているという。

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 この他、同様にAI技術を活用し、スペースや料金の最適化を図るというシェアオフィスのWeWork、自動車保険の査定時間を3日間から3時間に短縮したpolicy bazzar——などの事例を、孫社長は紹介する。「若い起業家がAIを使うことで、古くからある産業の仕組みを塗り替えている」

 孫社長は、次のように振り返る。「ソフトバンクは、創業初日から情報革命の会社だ。最初はPCソフトの卸業、出版が売り上げの99%を占めていたため、そうした“目に見える事業”が本業だと思われていたが、私は本業とは思っていなかった。だからインターネットの誕生とともに真っ先に比重を移した。インターネット関連の売上が1%しかなくても、私は99%の時間と頭をインターネットに割いた」

 その後も、環境の変化に合わせ、ブロードバンド、スマートフォンと“本業”を変え、成長を続けてきたソフトバンク。孫社長は「同じことをもう一度やろうとしている。売上・利益に貢献していなかったAIに比重を移す」と話す。

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 「AIを制するものが未来を制する。今回の決算では、ビジョン・ファンドのこれからの成果の先駆けが、増益部分として現れ始めたと受け取ってほしい」(孫社長)

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