カドカワが「N中等部」開校へ プログラミング学習など充実、「生徒が社会に出ていくための武器を育てる」
カドカワが設立した学校法人・角川ドワンゴ学園は9月13日、12~15歳の児童向けの通学制スクール「N中等部」を来年4月に都内に開校すると発表した。普段、中学校への登校が難しかったり、教師・友人との関係に違和感を覚えたりしている生徒が主な対象。通信制高校「N高等学校」の運営で培ったノウハウを生かし、プログラミング学習やライブ動画での授業などを用意する。
現行法では、通信制の中学校は原則として認められていない。そのためN中等部は、法律上の中学校ではないが、対象の生徒が在籍する中学校の許可を得て、N中等部のキャンパスに通えるようにする。生徒の希望があれば、N中等部に通った期間を中学校の出席数にカウントすることも想定している。
N中等部は、一般的なフリースクールとは異なり、社会で役立つ実践的な授業内容をそろえるのが特徴だ。例えば、プログラミングを通じ、論理的な思考を学べる授業の他、感情や思考、チームワークのトレーニングを受けた上で、実際の事例(ケーススタディー)を通じて課題解決などを学ぶプログラムも用意する。
国語、英語、数学などの授業は、ライブ動画を視聴できるスマートフォンアプリ「N予備校」を通じて提供する。個々の生徒の理解度に応じ、教材内容を選べるようにし、基礎的な学習に始まり、大学受験レベルの先取り学習も可能という。
この他、Webデザイン、小説執筆、楽曲制作などを学べる映像授業もある。カドカワやドワンゴが抱えるクリエイターなど、現場で活躍しているプロが教壇に立つ。
カドカワの川上量生社長(角川ドワンゴ学園理事)は「フリースクールは、生徒の社会復帰を目標に掲げる場合が多いが、N中等部は(生徒が)社会に出ていくための武器も提供したい」と話す。「現状のフリースクールは、生徒の心を救うことには成功していると思うが、心だけを救っても武器がなければ、その後心が折れてしまう」(川上社長)
N中等部の第1号キャンパスは、新宿・代々木付近に開校する予定。9月13日から資料請求と出願の受付を始め、来年1月~4月に入学テストを行う。定員は約40人。
中学生にとって「新しい選択肢に」
「できれば、中学の時代からN高のような学校で学べないか」——N中等部は、N高に入学した生徒や保護者のそうした声を受け、中学生にとって「新しい選択肢」になるようにと開校を決めたという。
2016年に設立したN高は、7024人の生徒(18年9月時点)を抱える通信制高校に成長した。同校の調査では84.47%の生徒、82.21%の保護者が「満足している」と回答。卒業率は98.30%と高く、東京工業大学、筑波大学、慶応義塾大学、早稲田大学などに進学した生徒もいる。
「(N中等部の設立は)悩みました」――角川ドワンゴ学園の奥平博一常務理事(N高校長)はそう話す。「(N高は)保護者からも賛同を得ている。未来を考えると(中学教育でも)早く手を打ちたいという思いがあった」(奥平常務理事)
現行法上、通信制中学の設立は難しいが、奥平常務理事は「小さい規模からのスタートだが、これを皮切りに新しい中学教育の選択肢が世の中に受け入れられるように励みたい」と意気込む。川上社長も「通信制中学の必要性を訴えていきたい」と話した。
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