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「敵とは何か」 SNSの未来を描く「ガッチャマン クラウズ」のメッセージを解くアニメに潜むサイバー攻撃(4/7 ページ)

» 2018年10月12日 08時00分 公開
[文月涼ITmedia]

星を破滅に導くカッツェさんは、扇動のエキスパート

F: かつて私が記事を書いていた雑誌が、今やほとんど残っていないのは私が滅ぼしたから……ではなく、時代の趨勢(すうせい)の結果だと思うのですが、このカッツェさん、ガッチャマンのリーダーであるミニパンダみたいな宇宙人、通称……通称……またいらぬ誤解を生みそうなので本名で紹介しますが、パイマンさんいわく、数々の星を滅ぼしてきた悪い宇宙人で、ガクブルな存在らしいのです。しかもその手口は自ら手を下さずに、その星の人々を扇動し敵対させ、自ら殺し合うように仕向けるらしく、地球でも猛威を振るい始めます。

 まず「キスをすると相手に擬態できる能力」を使って、るいるいの姿を奪い、Xにログインするための生体認証を突破します。おそらく三重認証なのですが、それを全て破っていますね。るいるいがアクセスしようとすると、Xから「既にログインしています」とリジェクトされてしまいます。これは「生体情報は不変である」という前提による脆弱性です。もちろん宇宙人がやってくることを想定しなくても、何らかの乗っ取りに対するリカバリーの手段を持たないシステムだったことが問題で、「るいるい、生体認証信用しすぎ〜」と思いました。

K: ……(キャラのまねしてる。似てねぇ〜)。現実世界でも、ハッカーによる生体認証破りのテストは流行っていますね。

F: 紙に顔を印刷するとか、写真で指紋を取って3Dプリンタで生成――とかは生ぬるくて、怖いことをいえば、目をくりぬいて虹彩認証するとか、指を切って指紋認証するというのもありますね。生体認証は認証の成功率が100%ではなく、本人でもリジェクトされてしまうことがありますし、双子を間違って認証してしまうことあります。ですので皆さん、今後生体認証の技術が進化しても、必ず代替手段、しかも100%認証できる手段をバックアップとして確保しておきましょう。たぶん物理キーや、スマートウォッチとセットで運用などが考えられるでしょう。

photo 数々の星を滅ぼしてきた悪い宇宙人、ベルク・カッツェ(c) タツノコプロ / ガッチャマン クラウズ製作委員会

 ただ、総裁Xもやられっぱなしではなくて、るいるいに化けたカッツェさんの不審な行動、特に「美しいものを美しい」と共感しない点に違和感を抱き、最終的にカッツェさんをリジェクトして、るいるいの元に戻ってきます。こういった「(AIが)行動パターンから本人を割り出し認証する」というのも1つのやり方だと思います。

K: ああもう、あのシーン、Xに姿があれば恋に落ちますよ! あ〜とろけるぅ〜。丹下さぁ〜ん(Xの声優さん)。

F: はいはい。で、カッツェさんは、GALAXを掌握している間、ギャラクターの中で危ない思想を持っている人たちにクラウズを与えたり、るいるいの姿で「革命を起こしましょう」とそそのかしたりします。その結果、梅田さんをリーダーとした「NeoHUNDERD」が生まれ、クラウズの力を見せつけ、国家に対して権限の委譲を要求します。クーデターですね。

 クラウズは通常、人間の目には見えないので、私の職場辺りは、訳も分からずボコボコに破壊されてしまいました。ああああ、警察庁さんが、官邸が、国会議事堂が、防衛省さんまで……。梅田さんは仮面を被り、YouTubeのような動画共有サービスで犯行声明を流すのですが、やがてカッツェさんが手のひらを返して、梅田さんの個人情報を暴露。匿名だからと思ってやりたい放題していたら、突然身バレして“退場”となります。

K: 総理大臣がオフレコで国民をディスっているのをライブ中継してあおる、なんて攻撃もしていましたね。ガッチャマンの1人、ジョーさんを心理的にむしばんだり。

F: 何気にサイバーを含む各種心理的攻撃を駆使しています。

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