ITmedia NEWS >

「ブロッキング法制化」反対派不在の報告会 「中間まとまらない」座長メモも公開(2/2 ページ)

» 2018年10月30日 14時00分 公開
[井上輝一ITmedia]
前のページへ 1|2       

「座長メモ」全文

 中村教授と村井教授が座長として連名で署名している、「インターネット上の海賊版対策に関する検討会議」の座長メモの内容をここに全文公開する。

座長メモ

 2018年4月の犯罪対策閣僚会議・知的財産戦略本部による緊急対策の決定を受けて、同6月に、知的財産戦略本部検証・評価・企画委員会の下に、「インターネット上の海賊版対策に関する検討会議」が設置され、権利者、インターネットサービス事業者、学識経験者、法律家などの関係者を一堂に集めて、コンテンツの流通の促進、既存の海賊版対策の検証・評価、アクセス遮断の法制度化も含めた総合的対策について、短期間に9回にわたる集中的な議論を行った。

 その結果、著作権教育・意識啓発、海賊版対策に資する出版業界・通信業界における環境整備、海賊版サイトに対する広告出稿の自主的な抑制、フィルタリングの強化等、関係者が民間主導で連携して取り組むべき対策のほか、関係省庁の連携等によるリーチサイト規制の法制化、著作権を侵害する静止画(書籍)ダウンロード違法化の検討等、様々な側面から直ちに取り掛かることが必要な内容について、共通の認識が得られた。しかし、いわゆるブロッキングに関する法制度整備について、議論をまとめることはできなかった。議論の詳細については、別添を御覧いただきたい。(会議構成員の間では、検討会議の報告としての取りまとめには合意が得られていない。別添は第9回の議論を踏まえて座長及び事務局において修正したものである。)

 今後、権利者、インターネット関係事業者、関係省庁等が連携して、海賊版の撲滅に向けて取り組んでいくことを心より期待する。

  • 正規版流通の環境整備に加えて、海賊版サイトに対して緊急に対応することができるようにするため、著作権教育・意識啓発、海賊版対策に資する出版業界・通信業界における環境整備、海賊版サイトに対する広告出稿の自主的な抑制、フィルタリングの強化等について、関係者が民間主導で連携して直ちに取り掛かり、これを関係省庁が連携して支援する。
  • さらに、関係省庁の連携も推進し、リーチサイト規制の法制化や、著作権を侵害する静止画(書籍)のダウンロード違法化の検討を進め、加えて、様々な側面から必要な制度設計の検討を進める。
  • 我が国の重要な電子コンテンツである漫画とアニメーションの海賊版サイトの課題を迅速・適切に解決するため、本検討会議で議論された内容について、継続・発展的な議論ができる適切な環境を引き続き整備する。
  • 以上の措置を進め、その効果を検証すべきである。
  • ブロッキングに関する法制度整備については、意見がまとまらなかった。
「座長メモ」全文
前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.