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iPadで描く「Project Gemini」は「真のフリーハンドツール」 Adobeが新イラストアプリで目指すものAdobe MAX Japan 2018

» 2018年11月20日 19時53分 公開
[村田朱梨ITmedia]

 「全てのクリエイティブの根底はドローイングだ」――米Adobe SystemsでCreative Cloudを担当しているスコット・ベルスキー氏は11月20日、横浜市で開かれたクリエイター向けイベント「Adobe MAX Japan 2018」で、開発中のイラスト制作アプリ「Project Gemini」の狙いを語った。

photo 「Project Gemini」

 Project Geminiは、iPadなどのタッチスクリーン操作を前提としたイラスト制作アプリ。ビットマップ/ベクターの両形式を混合してドローイングやスケッチを行えるのが特徴で、Photoshopのブラシを利用できる他、水彩や油絵を表現する「ダイナミックブラシ」機能などを搭載する。まず2019年にiPad版をリリースし、その後他デバイス向けにも展開する計画だ。

 10月に米国で開いた「Adobe MAX 2018」で、iPad向け「Photoshop CC」と同時に発表されたProject Gemini。ベルスキー氏によると、Project GeminiはiPad向けPhotoshopの開発を進める中で、「タッチスクリーンを使って他に何ができるか」を考えて生まれたという。

 「クリエイティブに関わる人間として、全ての根底にあるものは何かを考えた結果、ドローイングに行き着いた」とベルスキー氏は言う。「複雑なイラストや長編映画も、まずはドローイングからスタートする。ドローイングに特化したデジタルツールが必要であり、それを全く新しいレベルに持っていかなければならないと考えた」(ベルスキー氏)

photo Adobe Systemsのスコット・ベルスキー氏(Creative Cloud担当 エグゼクティブバイスプレジデント兼CPO)

 講演では、iPadを使ったProject Geminiのデモンストレーションも実施。Photoshopのブラシを使ってイラストに植物を書き足したり、水彩を再現したブラシで色を重ねてにじませたりする様子を披露した。

photo 「Project Gemini」のデモンストレーション
photo Photoshopのブラシを使って描くこともできる
photo Geminiで使える水彩を再現できるブラシ

 油彩を再現したブラシのデモでは、クリエイターの筆圧に合わせて“絵の具の出方”が変わる様子も確認できた。タブレットとデジタルペンで描いているにもかかわらず、本物のキャンバスと筆を使って描いているように感じられた。

photo 油絵を再現できるブラシで描いた絵

 作成したデータはPSD形式でCreative Cloudに保存でき、iPadで描いた絵の続きをPCで描くこともできるという。

 まずはiPad用アプリを2019年に提供し、その後iPhone向けにリリース予定。将来はWindowsやAndroidデバイス向けにも提供する計画だ。

 ベルスキー氏は「Project Geminiは真のフリーハンドツールだ。全てのプラットフォームに対応し、クリエイティビティーの解放を目指す」と話している。

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