10年ほど昔、デジカメといえば「コンパクトデジカメ」を指し、2010年前後のピークに向かってどんどん市場を広げてきた。懐かしいですな。
でも、デジタル一眼とスマートフォンに挟まれて市場は急激に縮小。高級コンデジや超弩級望遠など強い個性を持つ製品以外、こういうレビュー記事にもなかなか取り上げられなくなり、2018年には「デジカメ市場」を立ち上げたといって過言ではないカシオが撤退。
カメラの形をしてないってだけで、スマートフォンも十分カメラの一種であり、そういう意味では「カメラ市場」全体は大きくなってるわけで、かつて「レンズ付きフィルム」や「コンパクトフィルムカメラ」の市場を「コンパクトデジカメ」がかっさらっていったように、また時代が一つ進んだだけ、といわれればその通り。写真をプリントではなく、ネットでシェアしてスマートフォンで見る時代にはそれにもっとも適応した製品がカメラとして使われる、といえばその通り。
じゃあ、急激に縮小し、多くの人が見向きもしなくなったかつての「コンパクトデジカメ」は消え去ったのか、というとそうじゃない。今でも数は少ないながら、生き延びているのだ。
そんな荒波を生き延びてるカメラがどうなってるのか、気になりません?
今回取り上げるカメラは3台。ソニーから「Cyber-shot DSC-HX99」と「Cyber-shot DSC-WX800」、キヤノンから「Powershot SX740 HS」だ。
今、スタンダードなコンパクトデジカメをラインアップしているカメラメーカーは、ソニー、キヤノン、ニコン、パナソニックの4社。製品サイクルがどんどん長くなってるのでそれぞれが同時に新製品を出すって状況ではないのだが、たまたまソニーとキヤノンが同等クラスの製品を出してくれたのである。
そこでそれらをチェックしてみようと思った次第。どれも「小さくて高倍率なズームモデル」という共通点がある。
まずはソニーから。
ソニーはCyber-shotシリーズとして、DSC-WX700、DSC-WX800、DSC-HX99と3台を発表した。WX700と800の違いはタッチパネルの有無だけで、WX700は店頭販売しないモデルなので割愛するとして、この2機種。
面白いことに、中身はほぼ同じである。目立つ違いは、HX99が有機ELファインダーを搭載していることくらい。違うシリーズなのに中身はほぼ同じなのだ。
何がどうなったのか。
WXシリーズはかつてのCyber-shotの主力モデルで、薄くて小さいスタンダードなスタイリッシュコンパクトという位置づけ。
HXシリーズの「H」は「High」の略で、ハイズーム、つまりより高倍率のレンズを搭載し、旅行などに向いた「全部入りコンパクト」的な位置付けだった。
それが今や見た目はほとんど同じだ。
ではそのスペックを見てみよう。
イメージセンサーは1/2.3型で約1820万画素。ただ、センサーの総画素数は約2110万画素とちょっと多い。これ、センサーの端っこを使ってない(その分レンズ径を小さくして全体の小型化や高倍率化を優先した)ってことかと思う。
レンズはどちらも35mm判換算で24-720mm相当(実焦点距離は4.25-118mmなので28倍ズームとなる)。
開放F値はF3.5-6.4。
外形寸法も同じ(HX99の方が0.4mmほど幅があるが、これはグリップ部のせい)。
ただ質量はWX800の方がちょっと軽い(約233グラムと約242グラム)。
ポイントは世界最小の高倍率ズームってことだ。
実際の画角はこんな感じ。画質は両者同じなので、HX99で撮ったものを。撮影モードはオートで。
この2機種の違いは3点。
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