ロスレスオーディオを聴くぞ、ということで最高音質である192kHz/24bit対応を目指すのも悪くないが、そこまで高レートの曲は多くない。
例えばアリアナ・グランデやテイラー・スイフトといった現役人気アーティストの最新アルバムでも、48kHz/24bit程度である。そもそもオーディオ装置の再生能力が48kHz/24bit止まりだったとしても、192kHz/24bitのデータが聞けないわけではない。クオリティーが出ないだけである。そんなに気張らなくても、もっと手軽に考えていいはずだ。
そんな話を踏まえた上で、もっと気軽にロスレス配信を聴く方法を検討してみよう。音楽は最終的にはイヤフォン、ヘッドフォン、スピーカーなどから音として出てくるわけだが、それらの機器は全て「アナログ」である。こうしたアナログ機器はロスレスとどう対応するのか、という話になる。
今に至る「ハイレゾ」は2013年頃から徐々に製品が出始めたわけだが、当時のイヤフォン、ヘッドフォンでもハイレゾ対応かどうかが明記されているものが多かった。しかし昨今は、あまり明示的にハイレゾ対応なのかどうかを表示しない製品が多いようだ。
書いてなければハイレゾが聴けないかというと、そういうことでもない。ハイレゾデータもCDデータも、アナログ信号になってしまえば、しょせんはただの電圧・電流変化でしかないので、きれいに線引きができない。そのためにアナログ装置では、日本オーディオ協会の基準として、40kHz以上が再生可能かどうかでハイレゾ対応かどうかを決めている。JEITAの表でいうと、黄色い部分である。
じゃあ黄色い部分よりも下で、JEITA的にはハイレゾとされている部分に対応するアナログ装置はどうなるかというと、それは「ハイレゾ対応」と明示されていないアナログ機器でも楽しめる可能性は十分にある。
そこで皆さんに探してほしいのは、その昔2000年代初頭にイヤフォンブームがあったと思うが、そのときに買った高級イヤフォンである。机の引き出しとかに眠っていないだろうか。
ケーブルが錆びたりイヤーチップがダメになってるかもしれないが、ShureやUltimate Earsといったブランド品なら互換パーツはたくさん出ているので、リフレッシュは難しくない。ハイレゾ以前の製品でも、当時はプロミュージシャンがステージモニターとして使ってきた実績のあるイヤフォンで、応答性の良さも折り紙つきだ。
当時これらの製品は、メイン再生装置がiPodだった。当然ロスレスではなく、MP3やAACの圧縮音源でしか聴いたことがないわけである。かつて5万円ぐらいしたはずの高級モデルを今ロスレスで聴くとどういう音なのか、全然ダメかもしれないが、今でもイケるならめっけもんだ。
古いイヤフォンももう一度きちんと聴き直して評価してみるのは、意義のあることである。
さて現代のプレーヤーとして一番手軽なのは、iPhoneということになるだろう。ご承知のように今のiPhoneにはアナログ端子がなく、Lightning以外のイヤフォンを直結できない。そこでLightning対応のDAコンバーター(DAC)が必要になる。昨今はポータブルアンプもこなれてきて、1万円台からハイレゾ対応製品があるようだ。
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