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Apple Music「ロスレス配信」の本質と、現実的な楽しみ方小寺信良のIT大作戦(3/3 ページ)

» 2021年06月15日 14時00分 公開
[小寺信良ITmedia]
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 歴代のiPhoneをお持ちの方なら、アナログ端子がなくなってしばらく標準で付属していたヘッドフォンアダプターがあるはずだ。あれは48kHz/24bitまでなら変換できるので、多くの楽曲で十分対応できるはずだ。iPadはモデルによってイヤフォン端子があったりなかったりするのだが、イヤフォン端子があるならこれも48kHz/24bitまで対応できる。

photo 昔は付属品だったLightningヘッドフォンアダプター

 もう一つの選択肢としては、Macで再生するという手がある。Macはいまだにアナログ端子を廃止しておらず、イヤフォンをつなげばかなりの高ビットレートまで聴くことができる。

 設定アプリの「Audio Midi設定」では、イヤフォンをつないだ状態で96kHz/32bitまで対応しているのが分かる。ただ、Mac内蔵のアナログアンプのスペックが公開されておらず、どれぐらいの特性なのかが分からない点はご留意いただきたい。

photo Macのイヤフォン端子は96kHz/32bitまで対応

 192kHz/24bitまで保証された機器で聴きたいというのであれば、USB接続のハイレゾ対応DACがある。昔はかなり高かったが、今ではポータブルアンプと同じく1万円台から製品があるようだ。上を見ればきりがない世界なので、ロスレスがどんなものなのか、まずは勉強として価格のこなれたものを買ってみるのがいいだろう。

 従来のAACとロスレスの違いが分からないからといって、それは恥ずかしいことではない。世の中にはHDと4Kの見分けがつかない人だってたくさんいるのだ。音の違いなど、なおさらである。高いものを買えば分かるかもしれない、と考えがちだが、オーディオは10倍高いものを買っても音が10倍良くなるわけではない世界である。自分の資質をわきまえた投資をするべきだ。

 そもそもわれわれの最終目的は音楽を心地よく楽しむことであって、ハイレゾデータをモニターすることではない。人の好みは千差万別で、それは対応周波数レンジやダイナミックレンジだけでは決まらないものである。

 今の段階では、まずは普段聴くものがCD以上の品質になったことを喜びつつ、リーズナブルな方法をいろいろ試してみるというのが、心地よい楽しみ方というものだろう。

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